日本ハムが、今季新たに導入した「ショート・スターター」で初の完封勝ちを飾った。楽天14回戦(楽天生命パーク)で、先発した堀が2回1安打無失点。第2先発の金子が4回3安打無失点でリリーフ陣へつないだ。計6投手の無失点リレーで、9回に挙げた1点を守り、5月31日オリックス戦以来、今季8度目の完封勝利。2カード連続の勝ち越しで3位タイに浮上した。

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日本ハムの新戦術が、初めて完封勝利につながった。打者一巡を目安とした短いイニングを投げ、第2先発へ継投する「ショート・スターター」。開幕2カード目から積極的に導入してきたが、初めて無失点の成果を出した。栗山監督は「みんなでやるしかない。誰がじゃなく、それぞれが特長を出してくれた」と大きくうなずいた。

先発堀は、肩の力が抜けていた。今季2度目の先発。「ショートと分かっていた」。登板2日前に告げられたマウンドも、平常心を貫いた。先頭茂木に三塁打を浴びたが「そのあとは切り替えられた」。長いイニングを考えた計算はせず、腕を振って打者1人1人に全力で向かう。2回1安打無失点で、第2先発の金子にバトンを渡した。「中継ぎと変わらず準備した。いつも通り投げられた」と結果につなげた。

金子は前回6月30日ソフトバンク戦に続き、第2先発を担った。「自分は、どんな場面でもゼロに抑えること」と、毎回の7奪三振は今季最多。「(状態は)ここ最近は悪いと思わない」と要所を締め、4回3安打無失点。今季は11試合で先発も3勝4敗で、最長6イニングにとどまり、持ち場を模索されていた。指揮官は「弌大らしく、どんどんなっていっている」と、さらなる「ショート・スターター」効果を期待した。

「ショート・スターター」は日本ハムが今季、新たに導入した投手の起用法。選手の持ち味、可能性を広げようと栗山監督が打ち出した奇策だった。指揮官は、先発した堀に対し「短いイニングだからこそ出来ることもある」とメリットを明かした。前半戦最後の9連戦も、あと4試合。後半戦へとつながる、価値ある勝利をつかんだ。【田中彩友美】

◆ショート・スターター戦術 日本ハムが今季から多用する投手起用法で、先発投手に短いイニングを託し、第2先発から継投で試合をつくる作戦。メジャーリーグのレイズが18年に本格的に採用した、救援投手に最初の1、2イニングを任せる「オープナー」に似た形で、投手交代をひとまわりごとなど小刻みにすることで被打率を抑える利点があるとされる。派生した戦術に、救援投手だけで継投する「ブルペンデー」がある。