阪神の新外国人、ヤンハービス・ソラーテ内野手(32=マーリンズ傘下)が勝ち越しの来日1号を放った。

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浮沈の鍵を握る新助っ人が衝撃デビューを飾った。同点で迎えた7回2死一塁。右打席に入ったソラーテが巨人田口のスライダーに反応した。打球は大きな放物線を描き、左翼席へ。来日から6日目でスピード合流し、いきなりの1号アーチ。しかもそれが決勝弾になった。

「信じられない気持ち。鳥肌も立った。まるで自分の国で応援されているかのような大歓声の中で(プレー)できたのは幸せ。今まで聞いたことがないような大歓声の中でダイヤモンドを1周できて最高の気分でした」

途中入団の助っ人が日本デビュー戦でアーチを放つのは球団史上初。左翼4階席への着弾を確認しても、全力疾走を続けた。大きく両手をたたき、三塁を蹴るとステップを踏む。最後は華麗にポージングを決め、一気に虎党のハートをつかんだ。「セクシータイム」の愛称で呼ばれる理由だ。

揺れる心をついに固めた。昨年に阪神からオファーを受けていた。守るべきは家族。悩みに悩んだ転職は、大切な存在のため。32歳で覚悟を持って、海を渡った。「感情を出すことも、ホームランを打った後に何かすることも野球に対してのリスペクト。自分の子どもたちのためにと思ってやりました」。試合中も娘3人が写った「♯1DAD」と刻まれたペンダントをつけている。

「自分の全エネルギーを使って、これからもやっていきたい。全力でどのポジションを任されてもやりたい」。遊撃の守備も軽快にこなした。27日は左翼でスタメン予定。貧打にあえぐチームにとって、強烈なカンフル剤になった。さあ反撃開始だ。ソラーテが猛虎の救世主になる。【真柴健】

▽阪神矢野監督(ソラーテの劇的アーチに)「2死からだった。一振りで決めてくれるのは、本当に理想的な形。(点が取れず)同じような負け方で変わらなかった。そういう部分できてもらった選手。わからない部分も多いけど、やってみて判断すればいい」

▽阪神浜中打撃コーチ(ソラーテについて)「この球場は本塁打で試合が決まることが多い。最高の形。右打席は苦労すると思っていた。かなり実戦での対応力がある」

<データ>

▼阪神外国人の先発2番は、07年6月6日楽天戦でのシーツ以来12年ぶり。来日初戦となると、00年5月6日広島戦ハートキー以来、19年ぶり。

▼阪神の外国人が遊撃を守ったのは、07年10月3日ヤクルト戦シーツ以来、12年ぶり。来日初戦での先発遊撃に限ると、球団初。

▼阪神の外国人が「2番・遊撃」で先発出場したのは、63年6月26日大洋戦でのヤシック以来、56年ぶり。

▼阪神の外国人が来日初戦で本塁打を放ったのは4人目。過去3人はいずれも開幕戦で、89年4月8日広島戦フィルダー、91年4月6日大洋戦オマリー、95年4月7日中日戦グレンに続いた。なお決勝本塁打となると、89年フィルダー以来、30年ぶり。

▼途中入団した阪神の外国人の初戦本塁打は、前西武のブラゼルが09年6月5日オリックス戦で記録して以来、10年ぶり。阪神にシーズン途中入団した外国人が日本デビュー戦で本塁打を記録したのは、ソラーテが初となった。