大学日本代表の苫小牧駒大エース伊藤大海(3年=駒大苫小牧)が開幕戦の北海道教大旭川戦で7回コールドながら無安打無得点、毎回11奪三振の力投で勝利に導いた。

春季リーグ初戦は2点リードの9回に追いつかれ延長12回ドローに終わっており「最後まで集中して投げられた。春の反省が生きた」と振り返った。

7月の日米大学では、ストッパーとして5試合すべて9回から登板。2戦目にサヨナラ被弾を浴びた以外は、4戦無安打無失点と安定した投球で日本の勝利に貢献した。その際、米国の投手の投球を観察し「カットボールに日本の打者がてこずっているようだった」と分析。この日の最速は147キロと、MAX154キロには及ばなかったが、米国戦で気づいて研究したカットボールを、公式戦で初めて交えながら、無安打投球につなげた。

7月29日に4年生部員が酒気帯び運転で現行犯逮捕された。同大は運転していた部員を無期限停学、同乗4人を31日まで停学処分、野球部は8月10日まで謹慎とした。同13日に全日本大学野球連盟(東京)からの厳重注意処分を受けると、大学側から当該5選手の登録を除外してのリーグ戦出場を認められた。だが、開幕までは対外試合停止。実戦チェックができない中、伊藤は「僕ら全員、何かが欠けていたからこういう事態になった」と謙虚に受け止め、グラウンドの草むしりや清掃など、練習以外の部分にまで目を向け、心を洗い清めることから始めてきた。

26日には大学日本代表に合流し、U18W杯に出場する高校日本代表との壮行試合に臨む。同代表への参加辞退も考えたが、大滝敏之監督(65)と熟慮の末、参加することにした。「当該部員はみな悪いことをしてしまったと、反省している。私も責任者としての甘さがあった。でも、ここで大海も代表を辞退したら、罪を犯した彼らに、とても大きな責任を背負わせてしまうことになる」と説明した。

この日は内野手不足で、岡本凜典投手(4年=札幌大谷)が二塁手を務めるなど、スクランブル状態での1勝。伊藤は「野球ができる喜びをあらためて感じた。リーグ戦に出るからには全力で勝ちにいく。それが僕らの使命」と気を引き締めた。試練を乗り越え、昨春以来3季ぶりのリーグ制覇を目指す。【永野高輔】