<西武4-1ソフトバンク>◇11日◇メットライフドーム

逆転で首位に立った西武で貢献度NO・1の投手といえば、今試合で先発したニールだろう。150キロ以上の快速球を投げるわけでもなく、投球そのものに派手さはないが「勝てる投手」の持ち味が、大一番の試合でも発揮されていた。

バッテリーが「難しい」とされる“初球の入り”が抜群だった。7回を投げ、打者25人に対し、初球がボールになったのは8度だけ。2球続けてボールになったのは2回2死からの松田宣だけで、打者有利のカウントからの勝負はほとんどなかった。初球がボールになった打席は1本塁打を含む8打数3安打に対し、初球がストライクゾーンに決まった打席は17打数4安打(初球の安打が1本)。ゴロアウトが10個で、ここ一番のピンチで2併殺。まさに“ゴロピッチャー”の本領発揮だった。

初球のストライクがどれだけ投手に有利になるかを考えてみる。打者は「追い込まれる前に打ちたい」という心理が働き、ストライクゾーンを広くする。当然、難しい球の打ち損じが増える。球速は140キロ中盤から前半で、空振りをバンバンと奪うような変化球もないニールだが、打者が「打てそうで打てない」のは、投手不利のカウントにしないからだろう。

ソフトバンクの先発高橋礼も、ニールと同じゴロを打たせて打ち取るタイプ。しかし、高橋は6回を投げて初球でストライクからの勝負が9度。ボールからの勝負が12度だった。特に調子が悪そうではなかったが、この手の技巧派の投手は負けられない大一番で慎重になりすぎ、際どいコースを狙いすぎてカウントを悪くするケースがある。決して悪くはなかったが、自分のピッチングをしたニールとの差になった。これが勝負の分かれ目になった。【小島信行】