中日の山本拓実投手(19)がDeNA戦でプロ3勝目を手にした。自己最長の7イニングを投げ、5安打無失点。広島がヤクルトに敗れたことで、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が復活した。

「昨年の藤嶋さんの3勝を目標にしてきた。めちゃくちゃうれしかった」。昨季同じ高卒2年目でブレークした1学年上の先輩の勝ち星に並び、お立ち台で顔をくしゃくしゃにした。

試合中は正反対で、マウンドを降りるまでポーカーフェースを貫いた。2日前に球団史上12人目のノーヒットノーランを達成した大野雄大の姿を自らにだぶらせた。「大野さんのように動揺せず淡々と投げようと思った。いい意味で無で投げられた」。5回以外は全て走者を背負った。1回1死一、三塁ではロペスをオフに磨いた「縦スラ」で空振り三振。2回、3回も得点圏に走者を置いたが、後続を断った。ロッカー室で見守った大記録が後押ししてくれた。

今季先発デビューした中日の投手陣では新人梅津と並んで最も多い3勝目。それでも19歳は「7回で代えられる判断をされるのはスタミナが足りないから」と、次への課題もくみ取っていた。与田監督も快投に目を細めた。「序盤に球が高めに浮いたが、低めに修正出来た。少しずつ成長してくれれば」。15日にV逸は決まったが、自力CSは復活した。「いろんな数字はあるが、戦い方は変わらない」と指揮官。167センチの小さなヒーローが奇跡への扉をこじ開けた。【伊東大介】

▽中日木下拓(山本を好リードし3回は2点適時打)「申告敬遠の後だったので、絶対に打ってやろうと思った」