楽天岸孝之投手(34)が3カ月ぶりに勝った。5回に2ランを浴びた以外はオリックスに二塁すら踏ませず、7回2失点で6月8日中日戦以来の3勝目。高熱を出しての入院、救援陣が追いつかれて勝ちを逃すこともあった。

「意外と冷静でした。僕が勝てるような投球をしていなかった。1つ勝つのは難しい。負けていて(味方が逆転して)負けが消えるより、勝っていて(後続が打たれて)勝ちが消える方が、まだ気持ちは楽だから」と、9戦勝ちなしのトンネルを振り返る。自らの星勘定より、試合をつくる先発の役目を大事にしてきたから心は折れなかった。

昔からこだわりを貫くタイプだ。宮城・名取北高に進んだのは「家に近かったから」。漫画「スラムダンク」で流川楓が湘北高校を選んだ理由と全く同じ動機から無名校の野球部に入ったが、当初は仙台西高との2択で迷っていたという。「高校に入ったら、西高の野球部の友達が丸刈りになってた。西高だったら、野球をやめていたかも」。3年夏に仙台西が甲子園出場を果たしても、後悔はないと言い切る。今夏、甲子園常連の強豪校にも「脱丸刈り」のチームが出てきたと聞けば「遅いよね」と笑った。簡単にはぶれない。

3連敗を止め、3位ロッテとの1ゲーム差をキープした。「ちょっと前までは、(2度の離脱で)チームに迷惑をかけて『何やってるんだろう』というのはあった。でも、まだ(シーズンは)終わってないから」。最終盤で大黒柱の本領を発揮する。【亀山泰宏】