タレントから転身して1年目の元木大介内野守備兼打撃コーチ(47)は、若手選手に「金を稼げるプレー」を求めて、プロとしての心構えを伝えてきた。

「クセ者」と呼ばれた現役時代、チームメートには松井、清原、高橋由ら豪華メンバーがそろった。「ホームランバッターが多かったから、自分で生きる道を探さないといけなかった。10本打っても目立たない。だったら、いやらしいプレーヤーになりたい。右打ちを覚えたら使ってもらえて、それなりに給料をもらえた」と特異な存在感を示した。

山本、若林、田中俊、増田大、大城…。若手選手に対して「仕事なんだから。ビジネスなんだから。金を稼ぐプレーを早く見つけて、磨いてほしい。そしたらチームは勝つ」と説き続けた。フェンス直前への大飛球より詰まって落とす右前打、2軍で本塁打10本より1軍での10四球の方が価値は高い-。オンリーワンのプレーを求めながら、練習中から明るい声でチームを盛り上げ、三塁コーチとして1年間戦った。

9回は2死から重信、若林の連続四球でチャンスをつくり、土壇場で追い付いた。「しんどかった。選手の時は自分が頑張ればという気持ちがあるけど、見ていると『頼む』になる。こんなに1勝するのが大変なのかと実感したよ」と喜びをかみしめた。【前田祐輔】