広島赤松真人外野手(37)が22日、マツダスタジアムで現役引退会見を開いた。17年オフに胃がんの摘出手術を受け、前例のない1軍復帰を目指していた。中日24回戦後に予定されていた引退セレモニーは、同カードの中止に伴い、振り替え開催される27日に改めて行われる。

自力でクライマックスシリーズ(CS)に進出するためには残り2戦2勝がノルマのチームメートに、がんから生還した立場からエールを送った。

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背番号38のユニホーム姿の赤松が、すっきりした顔で会見場に現れた。自らの引退について口を開き、自力CS確定には2戦2勝がノルマの同僚に独特の表現でエールを送った。

「今、若いやつに、俺といっしょの病気になったらどうやというと、そっちのほうがつらいのはわかる。病気になって、そういうふうに気付けた。野球選手は高いレベルで悩んでいるけど、病気の悩みに比べたらたいしたことない」

胃がんが発覚したのは、16年12月。個人的に毎年受けていた検査に初めて胃の内視鏡検査を追加し、見つかった。年明けに、胃の半分を摘出した。その後リンパ節への転移が見つかり、抗がん剤治療を続けた。7月に3軍で練習を再開し、昨季2軍戦で復帰。オフに減額制限いっぱい、25%ダウンの推定年俸2025万円で契約更改。「ラスト1年」と覚悟を決めていた。

必死に戦った。それでも、若手を使うチーム方針もあり、今季2軍成績は出場49試合で33打数4安打、打率1割2分1厘、0本塁打、3打点、2盗塁。昨年より成績が落ちた。「とっさのプレー、相手に合わすプレーが0コンマ何秒遅れると致命傷になる。一番、力が衰えた部分」。引き時を悟ったという。

最も印象に残る試合は「新井さんのサヨナラヒットですね」という。優勝した16年の8月7日巨人戦。片膝立ちで右拳を突き上げた新井に向かって、ベンチを飛びだした。「フォア・ザ・チームになっているんですよね。(自分の試合より)そっちのほうが頭に残っている」と話した。

試合後にセレモニーが予定されていたが、台風接近による中止に伴い、27日に延期された。チームに望むのは、当時のように一丸となってCSを勝ち取ること。生きている喜びを感じながら、仲間たちとベンチ入りする。【村野森】