ソフトバンクがエースで敗れ、崖っぷちに追い込まれた。クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ第1戦。千賀滉大投手(26)が、ポストシーズンのプロ野球ワースト記録に並ぶ1試合4発に沈み、3位楽天に突破王手をかけられた。

それでも工藤公康監督(56)は「ここから」とネバーギブアップを宣言。2年連続下克上からの3年連続日本一へ、まずは第2戦を取って逆王手をかける強気な姿勢を示した。

   ◇   ◇   ◇

左中間ホームランテラスへ打球が消えると、千賀は肩を落とし、両手を膝にあてた。7回2死、茂木に勝ち越しソロを浴びた。浅村に2発、オコエにも1発を浴び、4被弾は今季初の屈辱。「失点すべてが本塁打。自分の責任。(味方が)3点を取ってくれて、それをすんなり吐きだしたことがすべて」とリードを守れなかったことを悔やんだ。

7回4失点。工藤監督は「今日はボールが高かった。1年間あいつが頑張ってここまで来られた。あいつを信じていかせた」と現実を受け止めた。24日の楽天戦で敗れてV逸して以来、中10日でのマウンド。千賀は「ちょっと難しかった。全体的によくなかった。(持ち球)全部使えなかった」と、言葉を振り絞った。

打線は3回以降無得点。1回に同点ソロを放った今宮には、3回無死一塁で強攻させたが、中堅へのライナーで走者を進められなかった。工藤監督は「一番タイミングが合っていたので打たせてチャンスを広げたいと考えた」と説明。今宮は「勝たないといけない。とにかく塁に出ないと。切り替えて、あと2つ勝てるように」と前を向いた。

3試合制のプレーオフ、CSで初戦に負けた27チームのうち逆転突破したのはわずか4チームで、確率は14・8%しかない。04年以降のパ・リーグでは、15チーム中で2チームだけだ。工藤監督は「データはデータ。ここから。終わったわけではない」と語気を強くした。第2戦の相手は美馬。今季7度対戦し、1勝3敗と分が悪い。だがファーストステージ敗退なら、楽天に敗れた09年以来。王者の意地がある。【石橋隆雄】