巨人岡本和真内野手(23)が、クライマックスシリーズ(CS)初本塁打を放ち、阪神とのファイナルステージ(S)初戦を勝利に導いた。1回2死、丸が先制ソロを放った直後に左翼席に豪快なアーチを運んだ。昨季はファーストS、ファイナルS合計で18打数1安打、打率5分6厘と低迷。「逆CS男」と悔しさを味わった。雪辱を誓った今シリーズで最高のスタートを切った。巨人は先勝でアドバンテージ1勝と合わせ2勝とした。

スタンドが沸く中、岡本は攻撃的な姿勢で打席に向かった。「すごく打ちづらい」と吐露するアーチ直後の打席。初球ファウルの後、勝負はフルカウント。フォークにタイミングを合わせ、CS初アーチを左翼席に運んだ。5回の左前打でマルチ安打を達成。お立ち台では1安打と沈黙した昨年のCSの話題を切り出し「去年は1本だったんで、今日の試合で2本打ったのでキャリアハイです」とスタンドを爆笑に包んだ。

苦い経験から、どんな試合でも「いつも通り」で臨むと決めた。マジック4で迎えた9月20日のDeNA戦。坂本勇が円陣で話した「僕も緊張してるし、若い選手もすごく緊張すると思うけど、こういう試合に出られる状況を幸せに」の言葉が胸に響いた。あまり緊張しないタイプだが、主将の熱い言葉に「力みすぎて」最初の3打席に凡退した。

岡本 緊張しながらやったんですけど、全然あかんかったんで、かっこつけんと、僕は僕らしく、いつも通りやろうと思った。

4打席目に適時二塁打を放ち、5打席目には2年連続となる30号でチームの勝利に貢献した。思い返せば、昨年のCSでも「打たないと」の思いが強すぎ、大ブレーキ。今年は「短期決戦は自分の結果よりも、チームの勝利」を強く意識し、初戦で去年の悪夢を払拭(ふっしょく)した。

この日の試合前ミーティング、静寂の中で首脳陣、選手、スタッフ全員が手をつなぎ、思いを1つにした。原監督流の「勝負の儀式」で闘魂を注入。「一丸となって、暴れるのみ」と熱いゲキも飛び、気持ちを奮い立たせた。独特な雰囲気が漂った中でも「ファンの歓声とか、すごく楽しかった」と受け止めた。

今季7度目の「マルオカ弾」で主導権を奪って、初戦を制した。試合前には丸から目薬をさしてもらって、視界もクッキリ。「早くあと2試合で決めて、日本シリーズに行きましょう」と力強く宣言し、大歓声を浴びた。【久保賢吾】

▼巨人は初回に3番丸、4番岡本が連続本塁打。岡本は現在23歳3カ月で、18年ファイナルS第1戦鈴木(広島)の24歳1カ月を抜くプレーオフ、CSの最年少4番アーチとなった。プレーオフ、CSの2者連続本塁打は18年1S第3戦のデスパイネ→中村晃(ソフトバンク)以来14度目で、巨人では14年ファイナルS第4戦のセペダ→坂本以来3度目。3→4番の連弾は04年2S第1戦の井口→松中(ダイエー)に次いで2度目になる。日本シリーズで巨人の3→4番連弾は、王→長嶋が69年第6戦の6回、70年第4戦の3回、72年第5戦の3回に記録しており、ポストシーズンでは47年ぶりチーム4度目の3→4番連弾だった。今季の巨人は公式戦で初回の得点が両リーグ最多の96点。公式戦同様、CSでも初回得点の速攻が決まった。