アロハ! 杜(もり)の都に「スモールベースボール」が逆輸入される。

楽天育成ドラフト3位の米ハワイ大・山崎真彰内野手(24)が10月31日、都内で入団交渉を行い、支度金、年俸ともに300万円で合意した。(金額は推定)

南国の風に乗って来た男は律義だった。写真撮影でハワイっぽい感じとリクエストされると親指と小指を立ててのハンドサイン。「こんな感じですかね?」と恐縮しながらポーズを決めた。「素直にうれしい。楽天に拾ってもらったという気持ちでいっぱいです」と喜びを口にした。

本場仕込みの「三振しない打撃」が持ち味だ。米国と言えば本塁打を狙う「フライボール革命」だが、ハワイ大は違った。「実は日本に近い」と細かい野球をたたき込まれた。フリー打撃で4秒以上のフライは禁止。ケージ裏でコーチがストップウオッチを手に、低く強い打球を打つよう目を光らせた。「バント練習だけで終わる日もありました」と小技も重視。コーンの間に打球を転がせるかなどゲーム感覚で技術を磨いた。

試合では進塁打や投手に7球以上投げさせたかなど「クオリティー・アット・バット」という基準が定められ「2ストライクからが勝負でした」と粘っこい打撃を鍛え、リーグ戦では2年連続打率3割超えを果たし、ベストナインに相当する「オール・ビッグ・ウエスト」も連続で獲得した。

苦労を重ねてようやくプロの扉をこじ開けた。東京国際大野球部を14年夏に退部し、米オレゴン州のウィラメット大に留学。帰国後は15年12月からホテルやコンビニのアルバイトで資金をため、16年8月にハワイ大に編入した。

ハワイ大野球部は「レインボー・ウォリアーズ」と呼ばれ、地元では絶大な人気を誇るため入部するにはスカウトかトライアウトが必須。「オレゴンに留学していた時の夏休みにハワイに行ったんです。その足でオフィスに向かって、トライアウトを受けさせてくれってお願いしたら、そのままキャッチボール、ノック、フリー打撃をやりました」と圧倒的な熱量で入部を勝ち取った。

だが、すぐに試合出場とはならなかった。単位数が認められず入学後1年目は練習生(レッドシャツ)として過ごした。ようやくプレーができたのは17年8月から。それでも大型遊撃手として力を示し、メジャーリーグのドラフト候補に挙がるまでに成長した。

意識する数字はOPS(出塁率+長打率)。「守備率は10割を目指したい。守備でミスをしない。それとOPS。大学では8割を超えたらという感じだったけど、900(0・900)はいきたい」と意気込む。

「打撃面では三振しないで、広角に打てるのが持ち味。右中間も左中間も運べる選手になりたい。1年目から勝負だと思っています。結果を残したい」と力を込めた。逆輸入の大型遊撃手。まずは支配下契約を目指す。【島根純】