日本の4番から、世界の4番へ-。プレミア12スーパーラウンド(SR)最終戦の16日、侍ジャパン不動の4番鈴木誠也外野手(25)が、攻守に存在感を見せつけた。17日の決勝でも対戦する宿命のライバル韓国との打撃戦で、打っては3回に勝ち越し適時打、守備でも5回、ライトからの好送球で同点のピンチを防いだ。好調を維持してチームの柱にのし上がり、大会MVPの最有力候補に。25歳での受賞ならプレミア12、WBCでは史上最年少だ。

鈴木が泥臭く、決勝点につなげた。1-1に追いつかれた直後の3回無死一、三塁。初球、体勢を崩し、どん詰まりの当たりが打ち上がる。追いかける二塁手と中堅手の間に落下。適時内野安打で勝ち越しに成功した。「チャンスだったので積極的にいきました。良いところに落ちてくれて、あそこから(打線が)つながったので良かったです」。一挙6得点の猛攻の火付け役になった。

守備でも流れを変えた。4回に1点差に追い上げられ、迎えた5回1死満塁のピンチ。右翼線への飛球に、快足を飛ばしランニングキャッチ。すかさず二塁手外崎に送球し、中継プレーを完成させて本塁生還を阻止した。「外崎さんが、しっかりカバーしてくれたので良かった」。流れが変わりかねないピンチを阻止する的確な判断と強肩に、観衆は沸き上がった。

主砲のバットが、勝利に直結してきた。1次ラウンドから計7試合で、打点を挙げていないのは唯一、黒星を喫した米国戦だけ。打線の要として打率4割7分8厘、3本塁打、12打点の主要3部門を含む8部門でトップ。MVPを取ればWBC、プレミア12の主要国際大会で06年WBC松坂、17年WBC・ストローマン(米国)の26歳を抜き、最年少25歳での受賞となる。

派手な活躍の根底には、太い信念が宿る。広島でも「4番」で、今季は打率3割3分5厘で自身初の打撃タイトルとなる首位打者を獲得。この日も1打席目から四球を選ぶなど、献身的な役目が必要なことも自覚している。「4番を打っている選手が、自分のことばかり考えていては勝てない。ただ、4番が打たないとチームは勝てない」。有言実行で結果を刻んできた。

今日17日の決勝は、梁■種、金広鉉の左の2枚看板と対戦することが濃厚だ。「今日勝っても、明日負けてしまったら意味がない。勝てるように頑張ります」。再び韓国と相まみえる頂上決戦。輝きを増す姿を、大一番で解き放つ。【田中彩友美】

※■は王へんに玄