大エースが東京オリンピック(五輪)イヤーの初陣を務める。巨人菅野智之投手(30)が28日、東京・大手町の球団事務所で契約交渉に臨み、現状維持の6億5000万円で更改。この日までに来季の開幕試合(3月20日、DeNA戦)で3年連続6度目の大役に指名されていると明かした。

今オフはチームメートの山口が球団史上初のポスティング制度を利用してのメジャー挑戦を表明。「野球選手としての夢」とし、東京五輪も控える来季終了まで封印する。

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大きな使命と目標がエネルギーになる。グレーのスリーピースに身を包んだ菅野が契約更改後の会見で思いを語った。ネガティブに後ろを振り返らず、必要以上に先を見過ぎることもない。最初の焦点を来年3月20日に合わせた。「開幕はいくつもり。今年は開幕から状態がよくなかった。12月の(米ハワイでの)自主トレの時点で開幕意識しながらやっていく必要がある」。東京五輪開催のため例年よりも10日程度、前倒しされる初陣を見据えた。

日本人として歴代球界最高年俸を受け取る重責と誇りを併せ持つ。今季は腰痛で離脱を繰り返した。完治を待てばシーズンを棒に振る診断だったことを明かし「やっているときは苦しかったり、何でと思うことがたくさんあった」。マウントを取られてもファイティングポーズだけは崩さなかった。「休むことは簡単だと思う。自分の中で完全に休むという選択肢はできなかった」。22試合に登板し、自己ワーストの防御率3・89も3年連続の2ケタとなる11勝(6敗)で踏ん張った。

2020年。日本スポーツ界同様に特別な1年になる。シーズンの目標は20勝。自国開催の五輪に向けては「競技している間は、もう一生ない。五輪が決まってから覚悟を持って。先日、千賀と話して、やっぱり出たいよねと。東京での五輪は競技者にとってはものすごく大きなもの」と侍ジャパンとしての挑戦も強く望んだ。

悲願の日本一、金メダルの先には子どものころから変わらない夢がある。浪人期間の1年を球団が考慮すれば来オフ、ポスティング制度を利用してのメジャー挑戦の可能性もある。この日の交渉では一切触れなかったと前置きした上で「もちろん、そういうものは変わらず持っている。そこを見据えて来季を戦うのは、チームに対して失礼なこと。日本一を目指して、その後にいろいろ話は出てくると思う」と話した。使命を果たし、目標を達成して、夢を実現させる。【為田聡史】

○…今オフにメジャー挑戦を表明している西武秋山、巨人山口、DeNA筒香らについて言及した。侍ジャパンや同僚としてプレーした戦友たちに「夢を持って野球選手として目指すのは当たり前。高みを見るのは、行く、行かないを別として素晴らしいと思う」と話した。