阪神高山俊外野手(26)が11日、関東地方で自主トレを行い「力」から「速」へ変化して5年目に挑むと語った。「パワーよりスピード感や体幹を」。昨季までを「100の力を出すのに120%を出していた」と分析。力んで甘い球を打ち損じることも多かった。「100を80%や90%の力でも出せるような体の使い方」を目指し、瞬発力を磨いて体のキレを追求する。

現在はその過程で、体幹トレーニングからダッシュにつなげる動きも取り入れている。この日はロングティーなどで調整。「スピード感を出せば、守備にも走塁にも生きてくる。キレが出れば、バッティングも変わってくると思う」。飛距離よりも確実性や安定性。「ヒットの延長が長打でいい」と基本に立ち返る。

新人王を獲得した1年目から成績を落としたが、昨季は105試合に出場。打率2割6分9厘と復調気配を漂わせる。「2年目、3年目と数字は落ちましたけど、絶対成長していると思う」。昨季は年下の近本が新人で活躍。その成績を認めながらも「やっぱり悔しさはあった」と本音を吐露。その中で腐らず「彼の何かを盗めればいいなと思いながら、ベンチで見てた」とも明かした。悔しい経験もムダにせず糧としてきた。

近本や糸井、福留に新助っ人サンズと外野の争いは激しさを増す。それでも「僕は負ける気もない。(首脳陣に)『やっぱり使うしかないな』と思わせるしかない」。さらに「さすがに今年5年目で、やらなきゃいけない年。言えば言うほど『自分がやらないと』という気持ちになる」と強気な発言で自らにプレッシャーをかけた。「今年は最初から最後まで。全部出るつもりでいる」。定位置奪取へ、勝負の年を迎える。【奥田隼人】

○…自主トレをサポートする酒井祐樹トレーナー(35)は、状態の良さに太鼓判を押す。高山が中学時代に所属していた「船橋中央シニア」のコンディショニングコーチをしていた縁で、昨年から参加。体の左右バランスなどが崩れて「戻す作業が多かった」という昨年に比べて体の状態も良く「積み上げていく作業ができている」と説明した。体のキレを追求する高山に応じてメニューも変えており「ショートランを何本もやるよりも少し変化をつけながら」と工夫を明かした。