4番争いのゴングが鳴らされた。日本ハム中田翔内野手(30)が19日、5番一塁で先発出場した広島との練習試合(名護)で逆転2ランを放った。

0-1の4回無死一塁で、右翼芝生席へ今季の実戦初アーチ。打順を試される中、意地の1発を放り込んだ。4番に座った大田泰示外野手(29)は実戦初安打をマーク。開幕まで残り1カ月と迫る中、熾烈(しれつ)な争いが熱を帯びてきた。

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4番は俺だ。そう言わんばかりの1発を中田が見せつけた。1点を追う4回無死一塁で広島矢崎の2球目、外寄り直球に快音を響かせた。ライナーで右翼芝生席まで持っていく逆転2ラン。「感触は芯でとらえることはできているのかな」と今年初アーチを振り返った。

打席の中で修正を図り、ボールにアジャストさせた。本塁打を放つ直前の1球目。勢いのある真っすぐに差し込まれ手を出せなかった。「真っすぐを待っていて、あそこまで差されてショックだった。空振りでもファウルでもいいから手は出したかった」。タイミングを少し早めることを意識してコンタクトした結果、最高の形へとつなげた。

18日の韓国・サムスン戦の2番大田、4番中田から替わり、この日は4番大田、5番中田と並んだ。「泰示は4番を打っていてもおかしくない。切磋琢磨(せっさたくま)して、いい意味で意識しあっていければいい」と言いつつも本音は違った。昨年まで8年連続開幕4番などチームの4番を張り続けてきた男は「正直、なんだこのやろうという気持ちもある。練習試合とはいえ悔しかった」と自らを奮い立たせた中での1発だった。

チームとしてベストオーダーを探るため、試合ごとに打順の組み替えを行う方針の中、中田の5番起用は栗山監督のメッセージも含まれている。「どういう打順が一番勝ちやすいのか、とにかく最後まで探り続ける。翔が打つのだったらなんでもするよ」とハッパをかけた。

中田は昨季4番で115試合に先発し24本塁打。優勝の2文字をつかむには、主砲のバットがカギを握るといっても過言ではない。試合後、中田は「ほっとする部分はもちろんあるけど、正直(この日の結果は)どうでもいい。今この時期にボンボン打っても開幕して打てなかったらなんの意味もない」。見据えるは結果を残し続ける不動の4番だ。【山崎純一】