ヤクルトの長谷川です! 新戦力の長谷川宙輝投手(21)が、目指していたマウンドで自己最速を更新する153キロをマークした。オープン戦ソフトバンク戦(ペイペイドーム)で、3番手として8回に登板。1イニングを無安打無失点に抑え、流れをつないだ。昨季まで育成選手として在籍していたソフトバンクを相手に、持ち味を発揮した。

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ペイペイドームの大型ビジョンに「153キロ」が表示された。ビジターユニホームに身を包んだ長谷川が、帽子を吹き飛ばしながら投じた1球目。自己最速を更新した。本来なら、ファンの歓声が上がる球速も「特に、自分の中ではスピードを出そうと思って投げてはいないので」とサラリと振り返った。

試合前には、周東ら元チームメートにあいさつをして回った。昨季までソフトバンクで背負った背番号は134。育成選手として3年目が終了し自由契約となった昨オフ、支配下選手として獲得オファーしたのがヤクルトだった。本来この日の試合会場はソフトバンクの2、3軍施設であるタマスタ筑後だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客での実施が決まり、球場がペイペイドームに変更になった巡り合わせもあった。

無意識のうちに、力は入った。「自分の投球ができればいいかなと思っていたけど、終盤で点差が詰まっていたし、ちょい力みました」。キャンプ中からバッテリーを組んできた古賀は「(今日は)今までで一番速かった。受けていて、『抑えてやろう』と思っている感じがした」と気持ちをくんだ。全15球のうち変化球は2球のみ。威力のある直球で古巣を抑え込んだ。

今季はリリーフの中心として、勝ちパターン入りの可能性も十分ある。高津監督は「少々荒れ球でも、ストライクが入らなくても、スピードボールは魅力。小さい投球にならないで(ほしい)。期待しています」と目を細める。子ども時代にはヤクルトのファンクラブに入っており、小学校の卒業文集に書いた夢は「ヤクルトに入って、青木選手と一緒にプレーすること」。あこがれのチームの一員としてソフトバンク戦に“凱旋(がいせん)”し、より気持ちが高まった。「もうホークスの選手ではないので。ヤクルトの長谷川として、しっかり投げたいです」。チームのために、腕を振る。【保坂恭子】

◆長谷川宙輝(はせがわ・ひろき)1998年(平10)8月23日、東京都小平市生まれ。聖徳学園では1年夏からベンチ入りも、甲子園出場なし。16年育成ドラフト2位でソフトバンク入団。支配下登録されることなく昨オフに自由契約となったが、ヤクルトが支配下選手として獲得。今季推定年俸650万円。175センチ、80キロ。左投げ左打ち。

▽ヤクルト斎藤投手コーチ(長谷川について)「(古巣との対戦で)特別な思いがあったと思うので、今日だけは四球を許してやるよと伝えました」

▽ヤクルト高梨(開幕ローテ入りを目指し先発で5回無失点)「変化球でもカウントがとれて、球数少なくいけた。(新球の)カットボールも投げミスなく使えた」