日本ハムのドラフト1位、河野竜生投手(21=JFE西日本)が開幕ローテーション入りを猛アピールした。巨人とのオープン戦(札幌ドーム)で本拠地初登板初先発し、4回1安打無失点で“プロ初勝利”を挙げた。

直球を軸にした大胆な攻めの投球で、前回登板で2失点した巨人打線にリベンジ成功。ゼロ封リレーとなったルーキー・デーの先陣を堂々と切った即戦力左腕が先発枠をグッと引き寄せた。

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即戦力の肩書き通りの投球内容だった。河野が持ち味を十二分に発揮した。「1球1球、大切に投げられた」。最速148キロを計測した直球を臆せずストライクゾーンに投げ込んだ。「大胆にいけたのが良かった」と腕が振れる本来の投球ができたからこそ、小さなテークバックから伸びるストレートと100キロ台のカーブやスライダーなどで緩急が付けられ、巨人打線を翻弄(ほんろう)した。

前回の反省点を、しっかり修正した。対外試合初登板となった2月22日の巨人とのオープン戦は、緊張から力んで制球を乱し、失点した。この日は、いい緊張感を保ちながら「監督から『楽しめよ』と言われていた。その気持ちでやって結果が出た」と心を制御して結果につなげた。キャンプ中から改良に取り組んでいたチェンジアップも「(4回に対戦した)坂本さんへの2球目の空振りはベストの軌道だった」と自信を深めた。

社会人出身らしく、準備も周到だった。2月29日に札幌市内の寮でエース有原に試合前の調整法を尋ねた。「球場に入る時間が何時間前かだったり、入ってからどういうことをするとかを教えてもらいました」。試合開始の約4時間前に球場入りして試合までの準備を行うなどエースの教えを実践。「結果もよかったので、これを続けていきたい」と今後へ向けても大きな手応えを得た。

現状の1軍先発陣は開幕投手の有原を筆頭に金子、杉浦、加藤、マルティネス、新外国人バーヘイゲンらが候補だが、河野も割って入るだけの結果を見せ続けている。栗山監督も「望むところは高いから。良かったけど、褒めはしない」と最大級の評価コメントを残した。この日の唯一の課題は4回2死無走者からの投球。簡単に2死を奪った後に連続四球を与えた。「そこまで完璧に近い形だったので、きれいに終わらせようと欲が出てしまった」。反省はしたが、伸びしろを感じさせるドラ1左腕が、シーズンへ向けての期待を膨らませてくれた。【木下大輔】

▽日本ハム木田投手コーチ(4回無失点の河野に)「左で140キロ後半のスピードが出て、あれだけチェンジアップが投げられれば、すごくいい。これからだけど、今日は良かった」

▽日本ハム厚沢ベンチ兼投手コーチ(河野に)「『巨人にリベンジしたい気持ちより自分の投球をすれば結果はついてくる』と伝えたが、また簡単にやりましたね。とても即席チェンジアップとは思えない。もう、覚えて7~8年たっているようだった」

◆河野竜生(かわの・りゅうせい)1998年(平10)5月30日、徳島生まれ。鳴門では3年連続で夏の甲子園出場。JFE西日本に進み19年ドラフト1位で日本ハム入団。今季推定年俸1500万円。174センチ、82キロ。左投げ左打ち。