プロ野球独立リーグのルートインBCリーグが新型コロナウイルスの影響で存続危機に陥っていることが22日、分かった。当初は4月11日に開幕予定だったが2度延期し、いまも確定できない。公式戦を開催できなかった場合は、リーグ運営の大きな財源であるスポンサー料の返還が生じ、窮地になる。同リーグの村山哲二代表が日刊スポーツの電話取材に応じ「興行できなければ、ほとんどの球団はなくなると思います」と危機感をにじませた。

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日本のプロ野球界を底支えしてきた独立リーグのBCリーグに激震が走った。新型コロナウイルスが猛威を振るい、開幕日が決まらない。公式戦を開催できなければリーグ存続の窮地に陥る。同リーグの村山代表は一般論も交えつつ、強い危機感を込めて説明した。

「(今季の運営の見通しは)立っていません。プロスポーツは、試合できなければスポンサー料も返還しなければいけない。興行できなければ、ほとんどの球団はなくなると思います」

当初は4月11日に開幕予定だったが、コロナ禍で2度の延期。5月中旬の開幕を目指してきたが、政府の緊急事態宣言の全国拡大を受けて、同17日に5月6日までの全体練習、対外試合などチーム活動の休止を発表した。ルートインホテルズが命名権を持ち、5社の公式スポンサーのほか、複数企業のサポートを受ける。また、各球団も地元企業を中心にスポンサーを募って運営資金に充てる。主な財源は入場料やスポンサー収入で、選手らの給与もまかなう。開幕できなければダメージは計り知れない。

村山代表は「独立リーグは親会社が担保してできる状況ではない。こういう事態は初めてです」と苦悩する。NPB球団のように潤沢な資金力があるわけではない。同リーグ1球団の年間予算は平均約1億3000万円でNPB球団の50~100分の1の規模(18年3月調べ)。リーグは深刻な状況を打開すべく、NPBとも緊密に連絡を取る。また、毎週、全球団の臨時代表者会議を開催し、状況を見て善後策を協議する。

「緊急事態宣言が終結すること、全体的に感染者数が減って、終息に向かうことが開幕するための大前提になります。我々も開幕に向けて努力するだけです」(村山代表)

東北、北信越、関東、近畿まで広範囲にまたがる日本最大規模の独立リーグだ。今季は神奈川も加わり、初めて12球団でシーズンを迎える予定。無観客での試合放送やスポンサーCMなど、収入源の確保も検討する。毎年、NPBに選手を輩出し、野球界のレベルアップに貢献してきた新興リーグが、ピンチに立たされている。【酒井俊作】

<ルートインBCリーグ>

◆リーグ名 Baseball(野球)とChallenge(挑戦)から。

◆歴史 06年に新潟、富山、長野(信濃)、石川が設立。07年に「北信越BCリーグ」として4球団で最初のシーズンが始まった。今年、神奈川が加入し、初めて12球団でシーズンを迎える予定。

◆監督 福島・岩村明憲監督や、神奈川・鈴木尚典監督など、12球団の監督はすべてNPB経験者。

◆リーグ形式 東西6球団ずつの2地区制で、前後期合わせて各チーム70試合を戦う。

◆予算 1球団の年間予算は平均約1億3000万円で、NPB球団の50~100分の1の規模(18年3月調べ)。ルートインホテルズが命名権を持ち、5社の公式スポンサーのほか複数企業のサポートを受ける。主な財源は入場料やスポンサー収入。

◆ドラフト 07年、石川・内村賢介が楽天から育成ドラフト1位指名されたのをはじめ、昨秋までに46人がNPBからドラフト指名を受けた。昨秋に西武からドラフト3位で指名された松岡洸希が最高順位。