選手、ファンだけではない。チアガールもプロ野球開幕を待ち望んでいる。開幕が延期する中「開幕を待つチア」と題し、随時紹介する。巨人公式マスコットガール「ヴィーナス」のリーダー山田ありささんは、高校時代に全米大会優勝の経験を持つ。リアル「チア☆ダン」に変化した日常を聞いた。【取材・構成=栗田尚樹、久永壮真】

   ◇   ◇   ◇

WEB会議での取材に対応した「ヴィーナス」のリーダー山田さんは、神妙な面持ちで現状を説明した。最後に球場でパフォーマンスしたのは3月15日、巨人-楽天とのオープン戦(東京ドーム)。無観客だった。「声やポンポンの音はいつもはファンの声援で聞こえないのに、聞こえてくる。不思議というか、いつもの球場がいいなと感じました」としみじみ語った。

3月後半に最後のレッスンがあった。選手同様、そこから個人調整期間がスタート。自宅、近くの公園…。メンバーは日々、筋トレやダンスを含め、最低1時間のメニューをこなす。オンライン上のレッスンも始めたが、ダンスを合わせるためには最大で7人が限界。21人全員がそろうことはない。手の向き、角度…。いつもなら簡単に確認出来ることも、スムーズにはいかない。

山田さんは、福井商のチアリーダー部「JETS」の出身。在学時には、全米大会で優勝した。同校チアリーダー部の活躍は、広瀬すず主演「チア☆ダン」として映画化もされた。そんなリアル版「チア☆ダン」。高校時代に成し遂げられなかった日本一の夢を巨人で果たすべく、踊りを続ける。「ヴィーナス」に入り3年目。「ジャイアンツで日本一を皆さんと一緒に経験したいですね。今後もチアダンスでたくさんの人を勇気づけられる存在になりたいです」。自宅のクローゼットには、衣装を大切に掛けてある。準備は出来ている。