全国の高校3年生球児へ、聖地甲子園からプレゼントが贈られる。阪神と阪神甲子園球場が8日、日本高野連に加盟する野球部の3年生全部員に「甲子園の土」キーホルダーを贈ることを発表した。今年はセンバツに続き、夏の甲子園も中止に。阪神はチーム内で何かできないか、と検討を続けていた。矢野燿大監督(51)や選手らが直接グラウンドでキーホルダー内の土を集め、約5万人とみられる対象者に送付される。
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球児への思いが形として届けられる。取材に対応した矢野監督が、今回の企画の経緯を説明した。
「センバツもなくなって夏の甲子園もなくなって、高校球児、一緒に頑張っておられる監督、保護者のみなさん、気持ちをどこにぶつけていいか分からないような報道を見ていました。応援したい、背中を押せるものがないかというところで、甲子園の土を贈らせてもらうことを決めました」
対象は日本高野連に加盟する全国の硬式野球部員と軟式野球部員の3年生で、約5万人にのぼるとみられる。阪神では5月中旬から、ファンのためにチームで何ができるかを考えるオンラインミーティングを、矢野監督、コーチ、選手で実施してきた。夏の甲子園の中止を受け、聖地を本拠地とする球団として高校球児に何かできないか、との声も選手から上がっていた。その中で矢野監督を中心に発案され、球団と甲子園球場も賛同。さらに日本高野連に相談し、実現する運びとなった。
甲子園の土の一部は、矢野監督、コーチ、選手、阪神甲子園球場、阪神園芸、球団職員らが直接グラウンドで集める。矢野監督は「みんな『よしっ、やりましょう!』と一致団結して賛同してくれました。僕たちが土を集めることで、そのキーホルダーの中に僕たちの思いも入って球児に届いてほしい」と説明した。
思いの強さは、目を潤ませた指揮官の姿が物語る。球児へのメッセージを求められ、「言いたいことはほんとにたくさんあって。え~ほんとに…う~ん」と時折、言葉に詰まった。「挑戦すらできないのはほんとに悔しい思いをみんなしていると思います」。新型コロナウイルスの影響で、異例の状況下の球児や関係者に思いをはせたのだろう。「また泣きそうなった…」とこぼすシーンもあった。
キーホルダーには本来の大会数を表す「102」のロゴが使用されている。矢野監督は「僕の勝手な未来を想像すると、このキーホルダー、土を持った子と会えたらすごくうれしいな、と。かばんやリュックに付けてくれている子と出会うかもしれません」との思いも明かした。製作費の一部は、矢野監督、コーチ、選手一同が出し合う。たくさんの思いが詰まったプレゼントは、8月下旬をメドに対象の学校へ配送される予定だ。【松井周治】
○…甲子園の土キーホルダーには「102」のロゴが使用されている。第102回にあたっていた夏の大会期間中に甲子園球場のオリジナルグッズとして使われる予定だった。矢野監督は「苦しんでいるみんながいるなかで、僕の勝手な未来を想像すると、このキーホルダー、土を持った子と会えたらすごくうれしいな、と。かばんやリュックに付けてくれている子と出会うかもしれません」との思いも明かしていた。
○…対象者は5万人近くにのほるとみられる。対象は日本高野連に加盟する硬式野球部と軟式野球部の3年生。日本高野連のデータでは昨年5月時点で加盟校は硬式3957校、軟式416校。当時2年生部員(現3年生)は硬式4万7027人、軟式2849人となっている。(本年度は調査が終了しておらず未発表)
◆甲子園の土 黒土は岡山県日本原、三重県鈴鹿市、鹿児島県鹿屋市、大分県豊後大野市三重町、鳥取県大山などの土をブレンドしている。これに京都府城陽市産の砂を加えるが、春は雨が多いため砂を多めに、夏は白いボールを見やすくするために黒土を多くするなど、季節によってその割合を変えている。



