初の開幕1軍を目指す日本ハム清宮幸太郎内野手(21)が11日、2軍楽天戦(鎌ケ谷)の初回に右越え2ランを放ち、9日からの1、2軍練習試合で“3試合連続本塁打”をマークした。一塁レギュラーへの高い壁となる中田翔内野手(31)もヤクルト戦(神宮)で出場7戦連続打点を記録して上り調子。待ちに待った開幕まで、あと1週間。甲子園を沸かせたヒーローたちが調整のギアを上げてきた。

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清宮らしい、けれん味のない、気持ちのいいスイング、打球だった。4番DHで出場した2軍楽天戦の初回2死三塁。1ボールからの2球目。楽天藤平が投じた真ん中高めの146キロ直球を捉えた。打った瞬間に確信できる放物線は、9日の2軍ロッテ戦、10日の1軍ヤクルト戦に続く、3戦連発となる先制の右越え2ラン。それでも、表情を引き締めたまま、ダイヤモンドを1周した。

1週間前の「超スットコドッコイ」から、ついに脱却した。無安打が続いていた4日に清宮へハッパを掛けていた栗山監督は、1軍ヤクルト戦の試合後「やっと尻に火がついてきたかなぁ。今日はすごい清宮幸太郎。スットコドッコイではなかった」と珍しく褒めたたえた。2軍戦のない12日は1軍巨人戦(東京ドーム)へ招集することを明言した。

初の開幕1軍、そして一塁レギュラーを目指す清宮にとって大きな壁となる中田も、きっちり調子を上げてきた。4番一塁でスタメン出場したヤクルト戦の初回に出場7試合連続打点となる先制の2点適時二塁打。「間合いだったり、タイミングの取り方。1歩ずつだけど、よくはなってきている」。“レベチ”(レベルが違うの意)な本調子は取り戻せていないが、練習試合は7試合出場で21打数6安打、打率2割8分6厘も11打点3本塁打。常にこだわる打点が稼げているのは、順調に仕上がりつつある証拠だろう。

ともに高校時代は甲子園で輝いたヒーロー。日本中の野球ファンと同じように、両者の成長過程を見守ってきた栗山監督は、中田には「別に調子はよく見えない。普通に見える。もともと技術も能力も高い。普通な感じで体を、どう1年間キープできるか」と高い次元のパフォーマンスを求め、清宮には「まだまだ、尻をたたかないとダメだね。もともと能力のあるバッター。前に進んでくれると信じている」と中田を脅かす存在に成長することを期待した。8月の「2020甲子園高校野球交流試合」(仮称)の開催決定から一夜明け、2人がそれぞれの調整場所で、1週間後に迫った開幕でファンの心を揺さぶる準備を加速させた。