プロ野球が新型コロナウイルスの猛威を注視しながら、有観客へのステップを上げていく。日本野球機構(NPB)は6日、Jリーグとの第11回となる新型コロナウイルス対策連絡会議を開催。専門家メンバーから東京都を中心とする感染者増加の状況は予断は許さないとしながらも10日からの有観客、8月1日をめどとする収容人数50%での開催は可能との見解が示された。苦難を乗り越えて開幕した愛するスポーツをファンも守ることが求められる。次回の同会議は27日に行われる予定だ。

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有観客へのロードマップは変わらない。東京都で5日連続で100人以上の感染者。小康状態だった地方でも感染者連続ゼロが止まった県もある。専門家メンバーの愛知医大・三鴨廣繁教授からは「東京は第2波と呼べる波が起こっているが観客をお迎えする方針は変えない」と歩みを止める言葉は出なかった。NPBの斉藤コミッショナーは「ベストを尽くして感染者が出ないようにしたい。着々とバランスを取りながら事業としての野球も盛り上げていかないといけない」と決意を示した。

現在の無観客から10日からは5000人まで、8月1日をめどに収容人数の50%を入れる。政府がこの日に開いた有識者による分科会でも、10日からの緩和で一致した。約2万人レベルの収容となる8月以降の次なるステップに斉藤コミッショナーは「今のところ、よほどのことがない限り8月1日から50%のラインは崩れていないと理解して準備する。早い段階で内閣の確認もしたい」と話した。踏み切るかは、20日前後の感染状況が判断材料になる。賀来氏は「ここ2、3日前からの国民の注意によって下がってくるかは10日後くらいに分かる」とした。

観客から陽性者が出た時を想定し、厚労省が開発した接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の利用も提言された。各球団から来場者に導入を啓発する運びになりそうだ。議論となっていたアルコール販売に関しては禁止とはならなかった。世間でも飲酒の伴う飲食店も通常営業している。ただロッテは当面の販売中止を発表しており、球団ごとで対応が分かれそうだ。

球団、選手も感染防止へ神経を注ぐが、ファンのモラルも求められる。三鴨氏は「球団も選手もめちゃくちゃ努力してきたことを観客にもご理解いただきたい。この文化を守るためにも今度は努力していただくのは観客のみなさん」と訴えた。双方向の力で日常を取り戻す。【広重竜太郎】

◆その他の主な決定、報告事項 (1)ファーム日本選手権は宮崎県内で11月7日(予備日は8日)(2)みやざきフェニックス・リーグは11月8~28日。四国アイランドリーグプラス選抜は不参加(3)12球団ジュニアトーナメントは12月29日~31日の変則日程で開催の方向で調整中。