JR東日本東北が6-0で七十七銀行に快勝し、3年連続26度目の優勝で7年連続の東北大会(2次予選)に駒を進めた。今季公式戦初登板のエース左腕・西村祐太(31=桐蔭横浜大)が8回を5安打無失点。2投手で完封リレーした。打線はルーキー若林蒼太外野手(23=東農大)の先制3ランなど9安打で援護した。第3代表決定戦は日本製紙石巻が7-2で東北マークスを振り切った。全国切符2枚を懸けた東北大会(福島・県営あづま球場ほか)は10月3日に開幕する。

昨年第1代表で都市対抗に出場したJR東日本東北が、東北「連覇」に向けて弾みをつけた。チーム最年長の西村が満を持して登板。8回まで散発5安打、二塁を踏ませない投球で最優秀選手賞に輝いた。西村を除く投手はすべて入社3年以内の若手。完封目前の9回は2番手にマウンドを譲ったが、「勝てばいい。試合で手本を見せて追い越していく若手がいればチームは強くなる」とエースの貫禄を示した。

入社9年目。昨オフは肉体改造に取り組んだ。体脂肪を減らして筋肉の比率を高めた。この日は気温30度を超す猛暑の中で自己最速タイの144キロをマーク。打者に応じて多彩な変化球も駆使するなど円熟味あふれる内容で、「投球の幅が広がった」と実感する。

最年長エースの踏ん張りに若手も応えた。4回裏2死一、二塁で、19日に23歳になった若林が右越えに社会人公式戦1号の先制3ラン。西村は「何とか1点と思っていたのに3点も入れてくれた」と感謝。東農大4年春から4番を務めた若武者は「高めの真っすぐ。いい感じで捉えられた。足の速さとパンチ力を生かして東京ドームにいきたい」と高校(三重・海星)、大学で果たせなかった全国出場を目標に掲げた。

都市対抗が秋に開催されるのは、東日本大震災で日本選手権と同時開催になった11年以来。当時チームは被災地の思いを背負い、全国4強まで駆け上がった。コロナ禍によりJRグループも一時、輸送人数が前年同時期の95%減まで落ち込むなど大打撃を受けた。西村亮監督(46)は「大変なのはどの企業も人も一緒。会社には結果で恩返しするしかない」と創部102年目の挑戦を続ける。【佐々木雄高】