この夏、虎の19歳が熱い! 高卒2年目の阪神小幡竜平内野手(19)が2打点の活躍で1点差勝利に大貢献した。広島戦に「8番二塁」で4戦連続スタメン。2回のセーフティースクイズでプロ初打点を挙げ、3回はヘッドスライディングで適時内野安打にした。阪神の10代野手による打点は25年ぶり。将来が楽しみな明るいニュースとともに、再び勝率5割に復帰した。

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若虎の奇襲が広島のエースを崩した。小幡は大瀬良の投球と同時にバットを寝かせた。「切れないでくれ、と思って走っていました」。一塁線に絶妙なセーフティースクイズを決め、三走の大山が生還。27日中日戦(甲子園)でプロ初安打を放ってからわずか2日後。売り出し中の19歳が、今度はプロ初打点を挙げた。

2回に1点を先制した直後、1死一、三塁。初球でスクイズを決め、さらに打球を処理した松山が一塁へ悪送球し、一走の梅野も生還した。一気に追加で2点をもぎ取った。「意外に冷静にいけました。1点で終わらずに追加点を取ることができて良かったです」。阪神の10代野手が打点を挙げるのは95年の平尾、高波以来25年ぶり。小技で歴史の扉をこじ開けた。

さらに小幡は泥臭い。4点リードの3回2死満塁では大瀬良から一、二塁間深くにゴロを放った。二塁手羽月の一塁送球と競争になり、小幡は執念のヘッドスライディング。「とにかくセーフになりたい一心で、無我夢中で走りました。がむしゃらにいきました」。1度はアウト判定となって天を仰いだが、矢野監督のリクエストが成功して適時内野安打。2打席連続打点で、4試合連続の先発起用に応えた。矢野監督も「ラッキーボーイだよね」と目を細めた。

飛躍の準備は万全だった。「絶対にチャンスは来る。そこで思い切ったプレーができるようにしたい」。今オフから入浴時間を多めにとった。起床後、練習後、夕飯後。「夕飯後が一番長いです。気が済むまで入りますね」。水風呂とお湯に交互に漬かり、1回の入浴で4セット。鳴尾浜の選手寮「虎風荘」で毎日行い、疲労回復に努めている。地元大分の実家に帰れば、源泉の湧き出る量が日本一といわれる別府温泉で体を癒やす。「お風呂の時間は僕にとって大事なんです」。日々の体のケアが全力プレーにつながっている。

この日は試合前のケータリング弁当で大分県産のから揚げを食べた。故郷の名産品パワーで2安打2打点と活躍し、チームの借金返済に大きく貢献。「まだまだ思い切ったプレーだったり、がむしゃらさを見てほしいです」。無邪気な小幡が頼もしい。【只松憲】

◆小幡竜平(おばた・りゅうへい)2000年(平12)9月21日生まれ、大分県出身。延岡学園では3年春に甲子園出場。高校通算24本塁打。18年ドラフト2位で阪神入団。1年目の昨季は2軍戦99試合に出場し71安打、1本塁打、14打点、打率2割2分5厘はウエスタン15位。184センチ、74キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸は720万円。