広島は12日、石原慶幸捕手(41)が今季限りで現役を引退すると発表した。本人からの申し入れを了承した。広島一筋19年で、16年からのリーグ3連覇に貢献。今季は8月27日DeNA戦での走塁で左脚を痛めて2度目の離脱となり、3試合の出場にとどまっていた。リハビリ中に決断したチーム最年長は、16日に引退会見を開き、11月7日阪神戦(マツダスタジアム)が引退試合となる。

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3連覇を支え、チーム最年長の精神的支柱だった扇の要、石原慶がユニホームを脱ぐ。7月にリーグ優勝決定後やけがを除けば、プロ1年目以来となる2軍降格。8月にも左脚を痛め出場選手登録を外れた。懸命のリハビリを続ける中、引退を決断した。

県岐阜商から東北福祉大をへて、01年ドラフト4巡目で広島に入団。2年目に正捕手の座をつかむと、09年WBC日本代表として世界一を経験した。10年オフには同年取得した国内FA権を行使せず残留。25年ぶりのリーグ優勝を果たした16年は、米球界から復帰した黒田博樹や新井貴浩らとチームをけん引した。最年長でゴールデングラブ賞を初受賞し、ベストナインも初めて受賞した。

17年以降は正捕手の座を会沢に譲ったものの、巧みなインサイドワークは光った。18年は38歳8カ月の史上最年長で通算1000安打を達成。今季は世代交代が進むチームの中で開幕から出場機会がなく、先発は2試合、通算でも3試合の出場にとどまった。それでも、実戦勘を養うためブルペンで投手の球を受けるなど出番に備えた。チームが下位に低迷する中でも、グラウンドで明るく声を出し、ベンチでも先発した選手に助言。出番の少ない選手たちに声を掛けた。

石原慶は大きな背中と自身を比較していたのかもしれない。かつてこう語ったことがある。「試合に出ていないときに声を掛けるのは簡単。でも黒田さん、新井さんがあれだけチームを引っ張っていけたのは、高いレベルで主戦として試合に出て、行動で示していたから。言うだけは簡単。言うことと、やっていることが伴っているから、偉大だった」。だからこそ、石原慶もチームメートから必要とされる存在だった。

16日に引退会見に臨み、11月7日阪神戦で引退セレモニーが行われる。黒田、新井と同じ41歳での引退。憧れであり、同志であり、戦友でもある2人とは違い、広島一筋の19年。広島の苦しい時代も輝かしい時代も知る偉大な名捕手が、プロ野球人生の幕を下ろす。【前原淳】

▽広島佐々岡監督「まだまだチームを支えてほしい気持ちが正直、あった。本人の決断なので仕方がない。ご苦労さまと言いたい。捕手として長い間頑張ってきて、最後は故障というのも頑張ってきた証しなのかと思う。若いころの石原と(バッテリーを)組んだけれど、試合になると先輩後輩関係なく、引っ張ってくれる捕手だった」

▽広島沢崎投手コーチ「お疲れさま、ご苦労さまでした。いろいろな時代を知って、優勝した時もチームに貢献してくれたという選手の引退は本当に寂しい」