ソフトバンク森唯斗投手(28)が「1号艇魂」で球団記録を塗り替える。11月30日、ペイペイドームを訪れた日本一ストッパーは今季まで、球団日本人では初の3年連続30セーブを達成。来季も、守護神としての期待がかかる。プレッシャーのかかる役割に「気分は1号艇」とボートレースに例え、トップランナーならではの苦悩を吐露も、年間最多登板、4年連続30セーブに果敢に挑んでいく。

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日本一の守護神が、熱弁をふるった。白井らボートレーサーと交流する中で、抑え投手と共通する思いに突き当たった。「抑えて当たり前と思われている。でも、打たれたら地獄じゃないですか。ボート選手も『1号艇』は逃げて当たり前と言われる」。圧倒的有利とされるボートレースの「1号艇」。そのプレッシャーの重さに自身の立場を重ね、森の言葉に熱がこもった。

常勝軍団の守護神は、勝ち試合を締めたときより、打たれたときに注目される。「1号艇で逃げるのは、すごくしんどいと聞いたこともある。一緒ですよね。気分は1号艇です」。トップを走る者ならではの苦悩だ。だからこそ「喜びがある」とやりがいを感じている。

18年から抑えを務め、球団では日本人初の3年連続30セーブをマーク。来季はサファテ以来の4年連続30セーブのパ・リーグタイ記録がかかる。だが「正直、セーブのことは気にしていない」ときっぱり。それよりも「8年連続50試合。いや50だけで終わりたくない。60、70…73試合投げたい」と、17年岩崎らの年間の球団最多72試合を上回る登板数を目標に掲げた。

例年は温暖なグアムで始動していたが、新型コロナウイルスの世界的な流行もあり、1月は国内で自主トレを行う。鉄腕は1月に徹底的に走り込んで、屈強な肉体を作り上げてきた。「(自主トレは)重要だと思っている。1、2月は追い込めるだけ追い込める」。日本シリーズ5連覇のかかる来季に向けて体を整備し、圧倒的な「イン逃げ」を決める。【山本大地】

 

◆1号艇 ボートレースでは内枠ほど有利とされていて、開催場にもよるが1枠の全国的な平均勝率が約50%ある。トップレーサーになるほど、1号艇での勝率は高くなる傾向がある。当然、舟券としても「1」絡みが人気になり、1号艇が敗れたレースの配当は高くなることが多い。