日本新薬(京都市)は、元楽天の北川倫太郎外野手(27=明徳義塾)が先制打を放った。6回1死二塁、ホンダ熊本(大津町)のサイド左腕、林から右前打。二塁走者の生還を見届けると、一塁ベースで両手を振り上げた。都市対抗初打点に「素直にうれしいですね」と喜んだ。

11年ドラフト5位で楽天入り。15年には31試合に出場した。17年限りで退団し、翌年から滋賀・東近江市を拠点とする社会人野球のカナフレックスでプレーする。業務用ホースを作る仕事に従事。午前の練習後、遅い日は夜8時過ぎまで働いている。

今回、補強選手として日本新薬に加わった。元プロ野球選手。周囲の期待は嫌でも高まるが、合流初日、松村監督ら首脳陣から「いつも通りにやってくれたらいい」と声をかけられた。「普段の自分のプレーを評価してくれている。プレッシャーよりも、よし、やってやろうという気持ちです」と3番指名打者を任され、意気込む。

先制打の場面。先頭の1番船曳が出塁し、2番古川が送り、回ってきた。松村監督から「任せたぞ」と送り出された。2球で追い込まれたが、そこから外の際どい球を見極めた。「いつか内にくる」。最後はフルカウントからの7球目、甘く入った136キロを捉えた。

26年ぶりの4強進出に貢献した。負ければ終わりのトーナメント。「プロ野球は試合数が多い。都市対抗は1試合、1球に対する思いが、プロ野球と違いますね」と感じている。頂点まで、残り2試合。「ここからは技術よりも、気持ちが大きい。なんとかヒットを打って、チームに貢献できるよう、1打席1打席、集中して臨んでいくだけです」と語った。