阪神は11日、来季から近本光司外野手(26)が選手会長に就任すると発表した。梅野からバトンタッチされ、入団から3年目までに就任するのは球団史上最速となる。副会長は27歳の青柳、役員は27歳の坂本と26歳の木浪に決定。来季から主将を務める大山も19日で26歳と、同世代でリーダーシップを取ることになる。2年連続盗塁王の近本が16年ぶりの優勝を目指し、グラウンド内外を駆け回る。

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異例の抜てきでも、近本の言葉には責任感が詰まっていた。阪神で入団3年目までに選手会長に就任するのは初めて。「3年目でチームを引っ張っていかないといけない立場。そういう役職を担いながら、プレーもしっかりやっていきたい」。新人から主力として2年を過ごし、リーダーの自覚は徐々に芽生えていた。

各球団の選手会長は、日本プロ野球選手会と日頃から連携し、チームの代表者として会議などに出席。球界の課題などについて議論する。今季まで3年務めた梅野も、社会福祉活動に積極的に取り組んできた。その梅野は選手会長に推薦した理由について「センターラインで責任を持ってやってくれている。早いと思われるかもしれないけど、チームもいい底上げをしていかないといけない」と説明。次代のリーダーとして期待をかけられた近本は、「ビジョンも全然分かっていないので、もう少し梅野さんと話をしながら相談して決めていきたい」とスムーズなバトンタッチでチームの力になるつもりだ。

頼もしいことに、来季は同学年の大山が新主将となる。練習や試合などグラウンドレベルでのまとめ役に「(大山)悠輔をプレー以外でもサポートしていけたら」と縁の下からの共闘を約束した。リードオフマン近本の打率2割9分3厘、主砲大山の28本塁打、85打点はいずれもチームトップ。94年生まれの2人を中心に虎を引っ張っていく。

副会長の青柳と役員の坂本は1学年上で、同じく役員の木浪とは同学年と、近い世代でポストが埋まった。「(年齢が)近い選手が多いので話もしやすいですし、どうしたらいいのか相談もしやすい。自分だけじゃなくて、周りにもサポートしてもらいながらいろいろなことをやっていきたい」。近本選手会長の顔つきが変わった。【只松憲】

<選手会長の要望アラカルト>

▼朝めし 01年、近鉄大塚選手会長が、藤井寺の選手寮で12月から3カ月間、食事が出ないことに「体を鍛えなきゃいけない時期に朝ご飯も出ないなんて」と改善を訴えた。

▼ニンジン オリックス北川選手会長は06年の契約更改時に、選手のモチベーションアップのため、シーズン中の勝負どころの試合にボーナスを要望。「そんな遊び心も必要でしょう」。

▼人工芝 10年、ロッテのサブロー選手会長は千葉市役所を訪れた際に、老朽化した本拠地千葉マリン(現ZOZOマリン)の人工芝張り替えを直接要望した。「人工芝が寝てしまってけが人も出ている」と訴えた。

▼バナナ 15年の契約更改時、オリックス伊藤選手会長(現DeNA)は、ホーム試合後の食事メニューの少なさに言及。「疲労回復に必要。豪華なものじゃなくバナナとかでいいので」と要求。球団から前向きな回答を引き出した。