巨人が来季のDH制暫定導入を提案したことを14日、発表した。山口寿一オーナー名の文書でこの日のセ・リーグ理事会に提出された。今季の日本シリーズでもコロナ禍での選手の体調を維持するためにソフトバンクの提案を受け、巨人が了承してセ・リーグ主催試合でもDH制で実施された。

山口オーナーの文書は以下の通り。

プロ野球は来季、新型コロナウイルスの感染防止対策を適切に講じつつ、東京オリンピックの開催に対応した日程で公式戦を行うことが求められます。

厳しい条件のもとで公式戦143試合(交流戦18試合含む)とクライマックスシリーズを実施することを踏まえ、またセントラル・リーグの野球を一層高めるために、当球団は、来季セ・リーグにDH制を暫定的に導入することをご提案します。

提案する理由は3つあります。第一に、コロナ禍の中で投手の負担軽減を図る必要があります。今季、セ・リーグは投手の故障者が41人を数え、30人だったパ・リーグを11人上回りました。過密日程に加え、打撃、走塁の負担が関係した可能性があります。

第二に、コロナ禍においてもチームの強化に努める必要があります。投手の負担軽減を図りながらチームを強化するには、DH制を暫定導入し、一人でも多くの野手に出場機会を与えて鍛えるのが理にかなっています。

第三に、我々はお客様にプロならではの試合を提供する責務があります。セ・リーグでは、点差によって投手がバッターボックスの後方に立ってバットを振らない、または空振りする場面が見受けられますが、プロスポーツとして本来許されるものではないと考えます。

投手の打撃力が近年低下したのは、社会人野球、大学野球にDH制が広く定着したことが背景にあると思われます。社会人野球

では1988年以降(社会人野球日本選手権大会など)、大学野球では1994年以降(東都大学リーグなど)DH制が採用され、DH制を採っていない大学野球は今や東京6大学と関西学生野球のみです。

巨人軍は、セ・リーグの皆さまとともに長い歴史を刻んできました。伝統を重んじるセ・リーグの野球に対する誇りと愛着は、皆さま以上に強く持っています。

しかし、困難を強いられるコロナ禍で、投手の負担軽減、チームの強化、プロならではの試合の3つをすべて満たしていくには、DH制を少なくとも来季に限り暫定的に導入することを検討すべきと考えます。

MLBでもナショナル・リーグが今季DH制を導入し、来季も継続する方向と伝えられています。

セ・リーグの野球を一層

高め合うために、ご検討をどうかお願い申し上げます。

▽中日加藤球団代表 リーグをさらに良くしていく議論は今後も続けていかないといけない、ということは確認した。(DH制は)来年は見送りと理解している。

▽阪神谷本修球団副社長兼本部長(会議の中でDH制の話もあったことについて) 結論というか、今の段階で来季入れるのはやめましょうという感じですね。セ・リーグを強くすることについては、永続的に考えていかないといけないんじゃないでしょうか、というまとめ方です。

◆指名打者 守備につかず、攻撃では投手に代わって打席に立つ打撃専門の選手。DH(Designated Hitter)と略される。日本のプロ野球では、パ・リーグが75年から採用している。