DeNAの2軍、嘉手納キャンプの第1クール最終日の4日、定点観測した。米軍の嘉手納基地に近く、飛行機のごう音が左翼後方から聞こえてくるグラウンド。1軍昇格を目指す選手たちが汗を流していた。

育成契約の田中健二朗投手(31)は球場の外、三塁側にあるブルペンの左端で、右端に陣取った同学年の三上朋也投手(31)とともに投球練習を行った。クイックモーションでの投球を行うなど、体調は良さそうだ。捕球している人物が発したであろう「ナイスボール」の声が、球場内にも聞こえてきた。

目の前でティー打撃を行うドラフト4位ルーキー、小深田大地内野手(17=履正社)は、ガッチリした体つきが特徴的だ。とても高卒新人(実際にはまだ卒業前の高校生だが)には見えない。

投内連係で三塁から一塁に送球した際「肩、強っ」と投手から声が上がったほどの強肩。技術面や1年間戦える持久力がつけば、早い時期から1軍昇格するのではと感じさせる。仁志敏久2軍監督は、小深田に限ったことではないが、今キャンプのテーマを「ファームなので、まずは体力的にフィジカルを向上させること、1軍のレギュラーと比べ、何が劣っているのかを考えさせる」としていた。

投内連係では、遊撃を森敬斗内野手(19)が1人で守っていた。仁志2軍監督が、中継プレーやバントシフトなどを直接教える場面もあった。「ポテンシャルは、同じ年代では12球団でもトップクラス。彼に求めているのは1軍に上がることではなく、1軍のレギュラー。今も上げるだけなら、面白みがあると思っている。1軍のレギュラーとして出続けるために何が必要なのかを求めている」。つまり、既に1軍に上げてもおかしくない力を持つが、1軍のレギュラーとして育てるために、促成栽培を避けているのだ。

昨季まで2年連続で開幕投手を務めた今永昇太投手(27)は、リハビリ組でキャッチボールという段階だ。「現実的に期間は難しいところはある。僕は目標は設定せずに、復帰したところが自分の開幕戦だと思って、そこからはけがで離脱しないようにやっていきたい」と3年連続の開幕投手は厳しい状況。キャンプ中に座った捕手を相手にしたブルペン投球を目指している。

梶谷隆幸が巨人へFA移籍し、今季は中堅のレギュラーがぽっかり空いた。候補の1人、乙坂智外野手(27)は2軍スタートとなったが、打力は光る。

打撃練習では、高校の先輩、筒香嘉智がDeNA在籍時にしていたように、逆方向の左翼から左中間→中堅→右中間→右翼と徐々に打っていた。三浦監督は1、2軍の振り分けを決めた時「全員を1軍に置くことはできない」と話していた。1軍に抜てきされた選手の結果次第では、キャンプ中にも入れ替えがあるということ。実績があるだけに、今は我慢の時か。

この日、2軍で最も長打力を披露していたのは山下幸輝内野手(28)だ。174センチと小柄だが、85キロのがっちり体形で、フリー打撃では柵越えが5本。細川成也外野手(22)が1軍にいる現在、2軍の打撃練習では柵越えはめったに出なかった。両翼が91・5メートルしかない嘉手納野球場だが、山下はフェンスから離れた後方の上部にあるネットに3本当てた。昨季はシーズン序盤、1軍で打率4割超えという時期もあった。正一塁手候補、ネフタリ・ソト内野手(31)の来日時期が未定なだけに、打力のアピールを続ければ、1軍昇格も見えてくる。【斎藤直樹】