DeNAの2軍、嘉手納キャンプの第2クール初日を6日、定点観測した。1軍昇格を目指す、若手選手の奮闘ぶりを紹介する。

山崎康晃投手らが投球練習を始めるころ、1軍の宜野湾キャンプから移動した三浦大輔監督もブルペン入りした。飯塚悟史投手の前。左にヤクルト風張蓮投手、右に育成ドラフト1位のルーキー石川達也投手(22=法大)がいる。山崎は、石川より1つ右側のマウンド。新球チェンジアップに挑戦するなど、新たな投球スタイルを模索していた。

三浦監督の山崎評は「まあまあだね。ブルペン入って間もないですから。これから状態が上がってくると思いますし、報告を受けている。元気そうに投げてましたし、1球1球丁寧に自分なりに考えて投げてたんで。まあ元気だなと思って見ていました」。山崎は「あいさつ程度でした」。深い話はしなかったという。既にキャンプの2軍発進を通告された際、意図を説明されている。

次のブルペン組は、年齢が若返る。左側から中川虎大投手、桜井周斗投手、宮城滝太投手、笠井崇正投手。中川は178センチと投手としては小柄だが、がっちりした下半身が目立つ。捕手を座らせ直球以外にもフォーク、カーブ、カットボールを投じた。球を受ける宮下直季チームサポーターブルペン捕手兼ファーム用具担当の「すごいグッド。ナイスフォーク」の声が響いた。

日大三高(東京)出身の桜井は、高校時代に早実・清宮幸太郎(日本ハム)から5打席連続三振を奪ったことで有名になった投手だ。1球1球、球種だけでなく、コースを捕手に伝えてから投げている。「インハイの真っすぐです」。「カット、内で」。「ツーシーム、外で」。チェンジアップがワンバウンドすると「ナイスキャッチです」。1球ごとに声が出る。

育成契約で背番号100の宮城は昨季、BCリーグ神奈川に派遣された。それでも復帰した短期間で5勝を挙げ、イースタン・リーグで最多勝のタイトルを獲得した。まだ線は細いが、直球と縦割れのカーブが目を引く本格派だ。足を上げてから1度止まるかのような独特なフォームからカットボール、シュート、フォークと投げていた。7日の紅白戦は1軍側で出場する予定。結果を出せば、支配下登録が近づくはずだ。

笠井は早大卒だが、在学中からBCリーグの信濃に在籍していた変わり種だ。今年はプロ5年目。勝負の年になる。

三浦監督が、なぜ嘉手納キャンプを視察したのか理由を説明した。「全体にどういう表情で練習してるのか。まだ1クール終わっただけなので、仕上がりというよりは2クール目入ったところで、元気な姿を見に行ければな、と思って見に行った。全体的に皆、集中してできていた」。1軍監督がわざわざ15キロほど離れた田舎町に来たことは、2軍選手にも刺激になったことは間違いない。坪井打撃コーチも1軍から同行していた。逆に、2軍から大村巌打撃コーチが、1軍の宜野湾キャンプに参加していた。三浦監督が1月中から予告していた通り、クロスチェックを実行した。

野手陣では、桑原将志外野手の明るい表情が目立った。三浦監督を見つけた瞬間、パーマヘアに満面の笑みを浮かべ、言葉をかわした。16~18年はレギュラー中堅手。梶谷隆幸の移籍で中堅の定位置がぽっかり空いた状況で、2軍スタートは不本意に違いない。だが、指揮官がわざわざ足を運んで状態をチェックしてくれた。開幕までに1軍に復帰するチャンスは、まだまだある。

昨年、手術を行い、リハビリ組の今永昇太、東克樹投手は、隣接する陸上競技場でキャッチボールをした。東は、エメラルドグリーンの目立つグラブをはめて60球。最大距離を30メートルまで伸ばす場面もあった。三浦監督は「(復帰を)焦る必要はない」と2人に直接伝えた。こうした番長流配慮が、シーズン順位にどう影響するのか。1年間、注意深く見守りたい。【斎藤直樹】