中日のドラフト1位、高橋宏斗投手(18=中京大中京)が25日、沖縄・読谷2軍キャンプでプロ入り初めて打撃投手として登板した。最速150キロをマークして渡辺と石垣を相手に30スイング中、安打性3本だけに抑えた。エース候補生の晴れ姿に福留、大島、ビシエドの打撃タイトルホルダーズも、ケージ裏から熱視線を送った。

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マウンドに上がった、最速154キロ右腕、高橋宏に、無観客なのに「ギャラリー」が集まった。打撃ケージの後ろには、日米通算2407安打の福留、2年連続最多安打の竜のヒットマン大島、そして18年首位打者の不動の主砲ビシエドらが竜のエース候補生に熱い視線を送った。

プロ入り初の打撃投手。左の渡辺と右の石垣を相手に、50球を投げ込んだ。出だしの4球はボール球。20球はボール球になったが、30スイング中、安打性3本と2人を抑え込んだ。無安打に抑えた渡辺へ投じた最後の25球目はこの日最速タイの150キロをマーク。トレードマークのオレンジのバットをへし折った。和製大砲候補生の石垣は右方向への3本の安打性を放ったが、バットは2度空を切った。

渡辺 スピードを感じる。僕のときはすごく球が動いていた。外はシュートし、インコースはカット気味に食い込んでくる球もあった。

石垣 手元でホップしてくるボールでした。スピードも感じます。

初めてプロの打者と対戦。ブルペン投球からさらに一歩進んだ高橋宏は安堵(あんど)の表情を見せた。「打者に対して投げることができた。体も問題なくきているので良かった」。

ケージ裏のベテランたちの視線に緊張した。大島からは登板直前にケージ後ろから見ると宣言された。「ブルペンとマウンドは感覚が違っていて、最初は修正がきかなかった。そういうところも見直して改善しないといけないです。納得する球は全然なかった」。先輩たちの視線の意味をかみしめた。

キャンプは26日で打ち上げ、名古屋に戻る。「段階を上げる調整をしていきます」。キャンプ中の1軍昇格は逃したが、若竜は3月5日にはじまる教育リーグ、オリックス戦(ナゴヤ)以降での実戦登板をにらんだ。【伊東大介】

【これまでの高橋宏】

▽1月7日 「昇竜館」に入寮。中京大中京の先輩フィギュアスケーター浅田真央がCM出演するマットレス「エアウィーヴ」を持ち込む。「寝ることも大切。縁があるな、と購入しました」

▽1月9日 ナゴヤ球場で新人合同自主トレ初日。中学時代からグラブは巨人菅野モデルを愛用していることを明かし「いずれは投げ合いたい」

▽1月14日 キャンプ2軍スタートが発表される。

▽1月28日 新人合同自主トレ打ち上げ。「新しい環境の中でいい時間が過ごせた。成長することができたと思います」

▽1月29日 中京大中京がセンバツ出場決定。「高校球児のみんなには感謝の思いを持ってほしい。野球を通じて生まれる感動を多くの人に届けてほしい」

▽1月30日 沖縄・読谷での合同自主トレに参加。「わからないことだらけ。しっかり先輩の動きを見習って、学んでいきたい」

▽1月31日 キャンプインへの抱負。「明日はユニホームの着こなしから、プロの第1歩がはじまる。気を引き締めてやっていきたい」

▽2月4日 キャンプ初ブルペン。捕手を立たせて46球。「思うような直球がいかず、自分自身では納得がいかない」

▽2月11日 初めて捕手を座らせてブルペン投球。立ち投げ50球後に山下相手に10球。最速148キロ。「(力は)7割くらいです。しっかりと球速が出ていて良かった」