東北が誇る“ワシンガン打線”が、本家顔負けの大爆発だ。楽天がDeNAとの練習試合(宜野湾)で20安打10得点の猛攻を見せ、勝利した。キャンプMVPの辰己涼介外野手(24)が3ランを含む3打数2安打2四球、高卒2年目の黒川史陽内野手(19)が5打数5安打2打点をマーク。コロナ禍の影響で新外国人選手来日のめどが立たない中、近未来のイヌワシ軍団を担う若手野手陣が躍動した。

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ぶっ放した。5点リードの5回1死二、三塁。辰己がDeNA平良の内角直球を捉えた。チーム13安打目は右翼フェンスを越え、勝負を決定づける3ラン。「ホームランになるとは思わなかったです」。打球は海風にも、キャンプMVP男の勢いにも乗った。

止まらない。2年目の黒川は右へ、左へ、ど真ん中へ、5打数5安打2打点の大当たり。毎回の計20安打。長打は4本のみ。単打16本の乱れ打ち。スタンドからは98年に横浜を率い日本一となった権藤博氏(日刊スポーツ評論家)が視線を送る。まるで当時の代名詞「マシンガン打線」をほうふつとさせる“ワシンガン打線”が打ちまくった。

過程の積み重ねが、成果に出てきた。23日の日本ハム戦後のミーティング。石井GM兼監督は「結果も大事になるけれど、それ以上にプロセスを大事にしてほしい」と訴えた。打席での思考整理。結果を裏付ける準備力を強く要求する。「田中和基も今日はいいアプローチしていた。球の待ち方や見逃し方が非常に良かった」と就任当初からぶれない基準で評価する。

打線の一角を見込んでいた新外国人のディクソン、カスティーヨの来日が不透明。ただ、指揮官は「この1年も勝負ですけど、この1年だけで戦いが終わるわけじゃない」と若手の台頭を促せる現状を、プラスに捉える。実戦7試合で打率4割7分4厘の辰己が「外国人がいてもレギュラーをとるつもり」と言えば、同4割7厘の黒川も「浅村さんをおびやかすというか、黒川やるな、と思われるような結果を出したい」と頼もしい。南国で元気づく若鷲たちが“ワシンガン打線”を作り上げる。【桑原幹久】