社内異動で19年から野球担当になった。20年はアマチュア野球担当。ドラフト候補の選手たちを取材してきた。今年はヤクルト担当1年目。初めてのキャンプで、村上宗隆内野手(21)の打撃練習に驚いた。

快音を響かせながら、とてつもない速度の打球を放つ。ライナー性の当たりでも、失速することなく、そのままフェンスを越える。取材で球場に来ているということを忘れ、純粋に打撃練習を見続けてしまった。これがプロなのか…。選手でもないのに、勝手に“プロの洗礼”を浴びた気分だった。それでも、練習後の取材では、体の使い方を追求中との段階とのこと。誰もが認める主砲が、自身の理想の打撃を毎回できるようになったら、どれほどの打者になるのだろうか…。メモをとるペンを落としそうになった。

今年はコロナ禍の影響で無観客でのキャンプとなった。バットにボールが当たる音、ボールがグラウンドに転がる音。捕球する音、打撃や投球の瞬間に選手が力む声。いろいろな音が聞こえてきた。野球を味わうという点では、良かったかもしれない。だが、それを記者という立場というだけで、独占もしたくない。1日でも早くコロナが収束して、ファンも村上の打撃に驚き、ドキドキワクワクしてほしいと思う。ただ純粋に野球ファンでスタンドを埋め尽くされる日が戻ってくることを願う。【ヤクルト担当=湯本勝大】