広島の新助っ人ケビン・クロン内野手(28=ダイヤモンドバックス)が、2戦連発となるグランドスラムを放った。阪神戦に「5番一塁」で先発。3回2死満塁から西純の真ん中高め直球を強振。甲子園に強烈な破壊音を響かせ、打球は左翼席に着弾した。195センチ、115キロの大砲は「ホームランになったのはボーナス。中軸を担う打者として打点を挙げることができたので、合格点だと思います」と大きな胸を張った。

7日ヤクルト戦で実戦12試合目の36打席目で初めて1発を放ち、調子が上向いてきた。本拠地で試合前に欠かさないトス打撃をこの日は敵地ブルペンでこなし、「いつものルーティンをこなすことができた」とニヤリ。実戦を重ねてきて「しっかりとボールは見極められ始めてきたかな。いいスイング出来始めている」と手応えを口にした。

他球団の多くの新外国人が入国できていない中、チームメートと親睦を深め、キャンプインに間に合わせようと、球団が提示した来日プランで最速の1月3日の入国を選択。キャンプでも早出練習を行い、鈴木誠と打撃論を交わすなど真面目に取り組む姿にチーム内で株価は上がっている。佐々岡監督は「日曜日の1本が精神的にも良かったのかもしれない。しっかりと練習している成果が徐々に出てきた」とうなずいた。

キャンプ中、クロンはテレビで甲子園のドキュメンタリー番組を視聴したという。「甲子園の歴史、どういう風な球場かをまず学んでから今日来た。歴史のある球場でプレーできたということは感慨深い」。父が元メジャー選手で兄は現役メジャー。野球一家で育った男は愚直な取り組みを続ける。開幕に向けて、主軸候補が波に乗り始めた。【古財稜明】