阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が、鮮烈な本拠地デビューを飾った。広島戦に「6番左翼」で先発し、初回2死一、二塁の初打席で矢崎から右前へ適時打。今季の甲子園初戦に駆け付けた5131人のファンの心を一振りでつかんだ。初の6番起用について、矢野監督は「一番ハマるところ」と説明。開幕まで3週間を切る中、大型ルーキーのアピールは続く。

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佐藤輝があいさつ代わりの一打を放った。初回。1点を先制してなお2死一、二塁で迎えた初打席。フルカウントから矢崎の外寄りスライダーを引っ張った。「強くコンタクトすることは大事にしている」の言葉通り痛烈なライナーで一塁手クロンのミットをはじき、右前に運ぶ適時打。「良いところで1本打てたので良かったです」。自身のフルネームが入ったタオルが客席で揺れる中、一塁ベース上で白い歯を浮かべた。

近大時代に7試合プレーし、プロでは初の甲子園。「楽しみだった。本拠地で声援も多いですし、そういうのは力になる。自分のタオルを掲げてくれてたのでうれしかったです」。球団新人野手でオープン戦の甲子園初打席で適時打は、02年浅井良以来、19年ぶり。一挙手一投足が注目される中、期待に応えた姿に矢野監督もひと安心だった。「注目される選手なんでね。ファンの人にもっともっと楽しみにしてもらえる選手。そのスタートということではそれなりのスタートだったんじゃないかな」。

初の6番起用について、指揮官は「チームとしては一番アイツのハマるところ」と説明した。実戦では3番の8試合が最多だが、1番近本、2番糸原と左打者が続く。左右のバランスや流れを踏まえると現実味を感じさせる打順とも言えるが「いろいろな意図でやっている。機能したかまだ1試合では。また動かすかもしれない」と含みを持たせた。首脳陣がオーダーを思案する中、佐藤輝は結果で応え続け、着実に開幕スタメンに近づいてはいる。

それでも、適時打の後の3打席は無安打で「毎打席、打てるように練習したい」と貪欲だった。筒井外野守備走塁コーチから風向きなどのレクチャーを受けた左翼守備も無難にこなし、4試合ながらオープン戦首位に貢献。「もっとチームに貢献できるように良いプレーをしたいと思います」。頼もしいルーキーが甲子園でベールを脱いだ。【林亮佑】

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