広島のドラフト1位栗林良吏投手(24=トヨタ自動車)が、人生初の甲子園登板で1回を3者凡退に仕留め、開幕守護神へ1歩前進した。阪神とのオープン戦の8回に登板し、最速150キロの直球と決め球のフォークがさえた。実戦は5試合全て1回無安打無失点と「無敵」を誇っている。大役抜てきへアピールを続ける。

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栗林は初めての甲子園登板を、落ち着いてわずか12球で終わらせた。8回。先頭の長坂をフォークで左飛に打ち取り、木浪はカットボールで遊ゴロに。それぞれ3球で片付け、最後は板山を直球とカットボールでバットを振らせるとカウント2-2から6球目、外角低めに鋭く落ちるフォークで空振り三振にねじ伏せ、駆け足でベンチへ戻った。

「前回よりは緊張をコントロールできて、球自体もいっていたと思う」

決め球のフォークに磨きがかかってきた。前回7日ヤクルト戦も1回を3人で片付けたが、フォークの制球を課題に挙げていた。この日は板山の最後でストライクゾーンからボールになる軌道が決まり「フォークが低めにいけば振ってもらえる。低めにいく確率を上げていければ武器になる」と自信をみなぎらせた。

愛知黎明時代には春夏を通じて無縁だった聖地での初登板を、体中で味わった。長坂の左翼後方への打球には「外野を越えたかなという感じだったけど、広さを感じました」と話し、うれしそう。「打球音も響きますし、マツダスタジアムとはまた違った、本当に素晴らしい球場だなと思いました」と感慨深げだった。

昨季19セーブを挙げ、今季も抑えの最有力候補だったフランスアの右膝手術が発表された。開幕アウトの緊急事態となる中、栗林はここまで実戦5試合で1イニング無安打無失点を継続している。合計で6三振を奪うなど、投げる度に安定感は増す一方だ。塹江、ケムナ、ドラフト3位の大道温貴投手(22=八戸学院大)らとの抑え争いについて、佐々岡監督は「まだまだ。最後まで」と語り、見極めを続けるつもりだ。

ルーキーながら守護神を任される可能性が現実味を帯びてきた。右腕は「リリーフをやる以上はしっかり勝ちパターンで投げさせてもらえるように、結果と信頼をもらえるようにやっていかないといけない」と背筋を伸ばした。大役を目指し、1つ1つアウトを積み重ねていく。【古財稜明】