今年も忖度（そんたく）なしなのか？ 日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏（50）と和田一浩氏（48）が、コロナ禍の特殊なシーズンの注目ポイントを洗い出し、順位を予想しました。小島信行記者とのクロストークでお楽しみ下さい。
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小島記者 毎年恒例の順位予想です。評論家の皆さんが嫌がるのは承知していますが、よろしくお願いします！
宮本 おっ、いつも最初に文句を言われるから「嫌がる」とか言って先手を打ってきましたね（笑い）。
和田 そういえば、日刊スポーツは昨年、シーズン終了後に突然、評論家の予想がどれぐらい当たっていたか順位をつけてきましたよね。
小島 “不意打ち企画”でしたが、好評だったんですよ（苦笑い）。
宮本 余計な企画をするよなぁ（笑い）。
小島 文句は企画者の広重記者に言ってください。
宮本 あのヤロー！ でも後輩を売った小島さんも同罪だな（笑い）。
小島 そんなこと言ってるから「宮本は厳しい」とか言われるんですよ（笑い）。本題に戻りますが、昨年は宮本さんも和田さんも、悪い順位ではありません。今年も忖度なしで、厳しく、的確な理由で順位予想をお願いしますね。
和田 昨年同様、今季も今までと違う状況が多い。難しいですよねぇ。新外国人がいつ来るかなんて、はっきりと予想できない。それで日本の野球に慣らす期間もほとんどないでしょ。いつまで我慢するかとか、どこで見切りを付けるとか、能力の見極めが重要になる。選手の能力を見極める“監督力”もシビアに考えて順位予想しないといけない。
宮本 今年は延長戦もなし。9回までで限定するんだから、ベンチも動きやすい。その分、監督の采配のうまい下手の差が例年より出るんじゃないかな。
小島 ここまで他の評論家の話を総合すると、延長がなしだと投手力の劣るチームが有利になるんじゃないかという流れが多いような気がしますが？
和田 ボクは逆だと思う。いい投手をどんどんつぎ込んでいけるんだから、投手力があるチームの方が有利になるでしょう。
宮本 俺も同じ意見。変な投手を投げさせないで済むから、投手力の弱いチームは「助かる」ことはあるでしょう。でも「有利」にはならない。投手力のあるチームの方がいい投手をたくさん投げさせられるし、先発投手も力をセーブして投げる必要性が減る。休養も取れるし、いいコンディションで投げられそう。「有利」に働くのは投手力のあるチーム。さっきベンちゃん（和田の愛称）が言ったように、新外国人の能力の見極めとか、これまで以上に監督の能力が重要になるんじゃないかな。
小島 そうなると監督に実績がある巨人が有利でしょうか？ お2人とも巨人を優勝予想していますね。
宮本 去年の原監督はやりたい放題でしたよね。ぶっちぎりで優勝しているし、正直、他球団の監督とは差があった。菅野も残留しているし、仕方ないんじゃないかなぁ。戦力的には阪神が対抗馬になるけど、他のチームとは力の差があるでしょう。
和田 阪神はもともと戦力がそろっている。そこにスーパールーキーの佐藤輝がオープン戦で活躍。阪神を優勝予想する評論家も多いんじゃないですか？
小島 まぁ、評論家の皆さんも、出身チームの予想は甘くなりがちです。阪神OBは人数も多いですからね（苦笑い）。
宮本 ルーキーの佐藤輝は2割8分、20本塁打ぐらい打ちそうだもんな。
和田 佐藤輝はキャンプ終盤まで見ていて、内角の速い球に苦戦すると思った。でもオープン戦を見る限り、対応していますもんね。振り遅れても、逆方向に本塁打するパワーがある。だからそれほど内角を気にしなくてもいい。あとはシーズンに入って打ち続けていれば、もっと内角を厳しく攻められる。ここまでは内角に対応できるかを見る「内角攻め」だったけど、本番では打撃を崩すためにぶつけても仕方ないというような「内角攻め」になる。そうなったときにどうなるかですね。
宮本 強打者の宿命だし、乗り越えてほしいなぁ。阪神にスーパースターが誕生すれば、野球界が盛り上がるし。
小島 開幕投手の藤浪はどうですか？ 西勇ではなく、少し意外でしたが？
宮本 その後のカードを考えたんでしょうね。ただ、昨年は1勝しか勝てず、終盤になって復活の兆しがあった投手。プレッシャーのかかる開幕投手でリキんでしまい、調子を崩さなければいいけど…。
和田 本人は認めていないようだけど、明らかに“イップス”の気配がある投手ですよね。開幕投手はしばらくは相手の開幕投手と投げ合いになる。不安のない投手でも、そこで勝てない試合が続くとおかしくなるケースがあるし、心配ですよね。せっかく復調の兆しがあるんだから、もう少し気楽な流れで投げさせてあげた方がいいと思うんですけどねぇ。でもそこを藤浪が乗り越えればチームに勢いがつく。注目ですね。
