本家ゆずりの「どすこい」は少し控えめだった。よくばり君こと西武ドラフト1位・渡部健人内野手(22)は、2打席連続3球三振で迎えた6回の第3打席。「何でも振ってやろうと思って打席に入った」という言葉とは裏腹に、初球ボール球を見送ると、2球目の116キロの真ん中低めのカーブを左翼席へ。プロ初安打が初本塁打に「自分のスイングすることをファームでやっていたので、そのまま出た」。愛嬌(あいきょう)のある顔がほころんだ。

ベンチ前で同期の若林からあおられ、スタンドに向かって両手を突き上げるどすこいパフォーマンス。けがで離脱中の山川から“拝借”し「山川さんが帰ってきたらやめます」と恐縮した。けが人続出の窮地で、前夜に急きょ空路で福岡入り。昇格即先発起用で理想的な活躍をした裏には、2人の“兄貴”がいた。

2月のB班キャンプでは山川と過ごした。1年目に14試合2本塁打と苦労した話を聞き「俺もあまり打てなかったけど、しっかり振っていけよ」と、大きな体で大きく振ることを意識付け。開幕直前のオープン戦2試合で消極的な内容に終始したことを反省し、山川の言葉を思い出して打席に入った。握るバットは前日届いたばかりの中村モデルで900グラムの型。「中村さんにいただいたバットでずっと練習していたので、違和感はなかった」と、おかわり君のようなきれいな放物線を描いた。

敵地ソフトバンク戦3連勝は04年以来17年ぶり。首位もガッチリキープした。渡部は「チームを勢いづけられるようにやっていきたい」と、最高の手みやげを得てとんぼ返りした。【栗田成芳】

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▽西武辻監督(渡部の1発に) まさかね…。真っすぐで三振していたやつが、カーブの変化球がきてホームランを打つ(笑い)。本当に価値が大きかった。