阪神佐藤輝明の場外弾で、16年7月12日のDeNA筒香嘉智の場外アーチを思い出した。中日戦の7回、筒香の打球が鳩サブレーの看板の上を越えていくのを見て、右翼場外へ走った。

試合中の球場周辺は思いのほか閑散としていた。営業していた露店のグッズショップの店員に、ボールが飛んで来なかったか聞いた。近くにあった噴水を指さしながら「あの辺に飛んできたみたいですよ」とこたえてくれた。

噴水のそばには男女2人組が涼んでいた。「ゴツンって音がしました」「モニター見てたら飛んできそうだったので、空を見たら白いのが見えて。UFOみたいでした」。球場の外周にあった小さなモニターには8回の阪神の攻撃場面が映っていた。

肝心のボールは発見できなかった。「係の人が持って行ったみたい」というふわっとした情報しか得られなかった。

あの日、筒香は2本特大アーチを放っている。1本目は5回。スタンド後方の看板に当て、グラウンドまで跳ね返らせるほどの強い当たりだった。そして2本目が場外弾だった。

試合は9回、ロペスのサヨナラ弾で決着した。ネクストバッターズサークルにいた筒香の目力が強烈だったのを覚えている。打順がまわっていれば、もう1本ぐらい打ちそうだった。

佐藤輝の規格外のプレーは、レジェンドたちの規格外のプレーを想起させてくれる。どこまでの選手になるのか。楽しみでならない。【16年プロ野球遊軍=竹内智信】