「名古屋の呪縛」を解いたのは、頼れる4番主将だった。

阪神大山悠輔内野手(26)が敵地中日戦で今季自身最多の4打点をたたき出し、同一カード3連敗を阻止した。

1回に先制打、3回に5号3ランを放つなど3安打。昨季から7連敗中だったバンテリンドームで虎を勢いづかせた。チームは貯金を再び2ケタに戻し、2位巨人とのゲーム差を1・5に拡大。両リーグ最速20勝に王手をかけた。

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大山は振り抜いた相棒をそのまま、ドーム天井に向けて高く掲げた。文句なしの感触を左手に残したまま、ゆっくりと走りだした。1点リードの3回表1死一、二塁。中日福谷の145キロ内角ツーシームを寸分狂わぬタイミングで強振。左翼席中段まで届かせた。

「3点入ったのが一番大きい。何試合か、点数を取れていなかったので」

5号3ランに虎党が沸く。それは「名古屋の呪縛」からナインが完全に解き放たれた瞬間でもあった。

バンテリンドームでは昨季途中から7連敗中。前日まで2日間も計2得点と苦しんでいた。

「チームに勢いを与えるためにも、先に点を取りたかった」

1回表2死三塁、福谷の初球スライダーを左前へ。チーム29イニングぶりの適時打で先制点をもぎ取っていた。そして、次打席の3回に3ラン。矢野監督が「もちろん今シーズンの中で一番の当たり。今まで見た中でも上位に入るぐらい完璧だった」と絶賛した特大弾で、名古屋8連敗阻止に導いた。

虎の4番。打てば祭り上げられ、負ければ敗戦の責任を一身に背負う。時には各方面から厳しい言葉も浴びせられる立場だからこそ、「芯」を大事にする。

「10人いれば、10人分の考え方がある。でも、自分にしかできないところも、もちろんある。それをブレずに貫けるか貫けないか。自分を信じてやっていければと思っています」

開幕直後は調子が上がらない期間もあった。そんな時も「フォア・ザ・チーム」に徹することで勝利を呼び込んできた。23打点はセ・リーグ1位の巨人岡本に1点差の2位。勝利打点も12球団最多の今季6度目を記録するなど、首位軍団の土台となっている。

チームは「めちゃくちゃデカい」と指揮官も納得の1勝で同一カード3連敗を阻止。両リーグ最速20勝に王手をかけ、2位巨人とのゲーム差を1・5に広げて甲子園に戻る。

「連敗はしていたけど、チームとして落ちてはいない。下を向くことはないし、しっかり前を向いていく。1年間、いい時も悪い時もある。悪い時こそ、全員で一丸となることが大事」

4番主将大山の一言一句が頼もしい。【佐井陽介】

▼大山が今季6度目のV打点を挙げ、今季12球団単独トップとなった。このうちデーゲームでの勝利打点が5度。昼間の試合で10戦全勝の阪神を、力強くけん引している。また1回のV打点が5度あり、先制パンチでチームを乗せる役割も果たしている。

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