監督みたいに打ちたいです-。楽天島内宏明外野手(31)が、値千金の決勝5号ソロでチーム唯一の得点を生み出し、連敗ストップ&首位返り咲きに貢献した。

2回にオリックス山崎福のカーブを右翼席へ運び、8試合連続安打と好調だ。石井一久GM兼監督のメジャー初本塁打動画を試合前に偶然発見し視聴。イメージをふくらませ、7試合ぶりの1発を放ったが、なぜか落胆していた。

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島内が、自らが描いた放物線に肩を落とした。2回。オリックス山崎福のカーブを引きつけ、ドンピシャで捉えた。右翼席を目がけ強烈な打球を放ち、7戦ぶりの1発となる決勝の先制ソロ。だが言葉は弾まなかった。「反応で打ちました。たまたまです。ラッキーですね。全然打球が飛ばなかったです。監督と僕のポテンシャルの違いです」と推定105メートル弾に納得がいかなかった。

落胆の原因は、試合前に視聴した17年前の動画にあった。04年7月31日、当時ドジャースの石井GM兼監督が、メジャー初本塁打を放った。サイ・ヤング賞投手で、当時パドレスの右腕ジェイク・ピービーの外角高め変化球を捉え、敵地ペトコ・パークの右翼席へ軽々と放り込んだ。

島内は指揮官の1発をYouTubeで偶然発見。「いいイメージが湧いて、その通りに打てました」と結果につなげた。だが、投手ながら豪快なスイングと自らを比較し「僕は全然ダメですね」とぽつり。落胆ぶりを伝え聞いた指揮官は「ポテンシャルは僕の方が持ってるんで」と笑った。

そんな島内は、4番で躍動している。開幕から3番に座るも、4月30日ロッテ戦から4番で14試合に出場。同打順で打率3割6厘、2本塁打、12打点。今季通算31打点はロッテ安田に次ぎリーグ2位だ。この日の第2打席では三塁内野安打を記録。全力プレーでチームを支える。

この日は人気ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」とのコラボ試合。両監督のメンバー表交換時には「ドラゴンクエスト3」の戦闘のテーマが流れ、スタンドには同ゲームで主人公の案内役となる「スラミチ」のぬいぐるみが約50体並べられるなど、演出が施された。それでも、島内は「ドラクエはあんまりやったことがないですね。今は『龍が如く』にハマってるんで、今日は帰ったらしっかりやります」と宣言。落胆ぶりは、すっかり見えなくなっていた。【桑原幹久】