1カ月ぶりの白星をもぎ取った。巨人高橋優貴投手(24)が7回1/3を7安打2失点でリーグ単独トップの6勝目を挙げた。6回1死一塁、2回に先制ソロを浴びた岡島を持ち味のキレのある内角直球で併殺に打ち取った。「今週1週間はとことん真っすぐと思ってやってきた。それが自分の持ち味」と腕を振った。

ベンチで勝利を見届けると笑顔で仲間を出迎えたが、お立ち台では「朝起きてから無性に不安でした」とこぼした。今季は5戦5勝のあと、3戦勝利なし。それでもマウンドに上がると気持ちは切り替わった。「マウンドに上がれば、何てことはなく攻めていくことしか考えていなかった」と強気な姿勢を貫いた。

優しい笑顔の下に、何事にもへこたれない芯の強さがある。東海大菅生時代は絶対的な存在ではなかった。3年夏の背番号は11。同校名物の「フェンス」というランメニューには苦労した。一塁側ベンチから左翼フェンスをタッチして、定められたタイム内に戻って来るというもの。連帯責任で全員がタイムを切れないと終わらない。多い時には100本、ほぼ毎日実施された。遅れがちだった高橋は先輩に鼓舞されながら、2人がかりで引っ張られた。それでもくじけなかった。高校卒業後は八戸学院大で野球を続けて名を挙げ、プロの舞台にたどり着いた。

開幕から2カ月で、自己最多を更新する6勝目を挙げた。引っ張られる存在から、チームを引っ張り上げる存在になったが「キャリアハイということですけど、それは今日まで。自分の結果が今ほしいわけじゃない」と言い切った。プロ3年目。ぶれずに突き進む。【小早川宗一郎】

 

▽巨人原監督(4試合ぶりの白星で自己最多の6勝目を挙げた高橋について) 「今日はかなりの覚悟の中でマウンドに上がってくれたと思います。まだまだ、戸郷と一緒で途上だから、常にチャレンジャーであれというところです」