阪神の新1、2番が全3打点を挙げる活躍で、怪物撃ちに弾みをつけた。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦で3回、近本光司外野手(26)の適時打で先制すると中野拓夢内野手(24)も追加点の犠飛。5回にも中野の適時打で中押しした。8番小幡竜平内野手(20)も得点の起点となり、「オバ・チカ・ナカ」が前日のリベンジを演出。27日に対戦する注目の163キロ右腕、佐々木朗希投手(19)撃ちで波乗り首位固めといきたい。

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虎党の拍手の中、近本がベンチ前で左手を上げ待っていた。中野がヘルメットのつばを触り、それに応える。3回1死三塁。中野の飛球は定位置より前だったが、走者近本は本塁へ突入。滑り込むことなく2点目のホームを踏んだ。「浅い外野フライでしたが、近本さんに救われました」。中野は先輩に感謝した。

その直前、近本がバットで魅せていた。3回1死二塁。「どんな形でも、ランナーをかえすという意識を持っていた。ストレートをしっかりセンターに返そうと思って、ボールに対してコンタクトできた」。岩下の148キロを振り抜き、左翼越えの先制二塁打を決めていた。

新2番も続く。5回2死三塁。中野はバットを折りながら右前へ運んだ。「チャンスで回ってきたので、しっかり生かしたいなと。食らいついていけた」。右翼マーティンの処理が遅れる間に二塁へ。隙のない走塁も“2番向き”だ。

この日、近本にはエネルギー源があった。前日25日、母校の関学大が関西学生リーグで13年秋以来のリーグ優勝。自身は大学4年間届かなかった栄冠に「本当にうれしい」。後輩たちの活躍も刺激に、5月は打率3割7分9厘。開幕時の不調がうそのようだ。

一方の中野は今季4試合目の2番起用。19日に糸原が下肢のコンディショニング不良で出場選手登録を抹消されたが、不動の2番の穴を埋める活躍を見せている。矢野監督も「技術的にはしっかり通用するというものも評価している」と納得顔だ。

クリーンアップが無安打でも“チカナカ”コンビが、打って走って前夜のリベンジを果たす交流戦1勝目。さあ、27日はロッテ佐々木朗との初対決だ。

矢野監督 甲子園で佐々木君を見るというのは、タイミングが合わないとないことなんで、僕自身楽しみ。全力で向かっていって、チーム全員で点をたくさん取りにいきたい。

好調阪神打線VS最速163キロ右腕。佐々木朗を打ってカード勝ち越しを決めれば、チームもますます勢いづく。虎の新たな1、2番コンビが、初回に牙をむく。【中野椋】