節目の1発を決めた男の顔ではなかった。

4点ビハインドの9回、巨人亀井善行外野手(38)が日本ハムの守護神杉浦のスライダーを捉えた。待ちに待ったプロ通算100号本塁打にも、リードを許す状況に厳しい表情は崩さなかった。メモリアル弾を契機に猛攻を見せたが、時すでに遅し。4-6で敗れ、笑顔なくロッカー室へ消えた。

プロ17年目での到達は大卒選手では史上最遅で、38歳10カ月は歴代年長4位タイ。ここまで5455日。じっくり歩んできた。

長い道のりをへても、変わらないものがある。開幕戦でサヨナラ本塁打を放ったが、以降は快音が思うように響かない。そんな中、2日と3日の昼間は千葉・鎌ケ谷でのイースタン・リーグ日本ハム戦に出場。夜には東京ドームで西武戦とベテランでは異例の“親子ゲーム”を志願した。練習では代打1打席勝負で対峙(たいじ)する多くの守護神を想定し、打席の投手寄りに立って速球への感覚を磨く。プロ入り後、常に向上心を抱いてきた。4月20日以来の先発出場で最後まで集中力を高められていたのは、積み重ねてきた鍛錬のたまものだった。

原監督は、「(親子ゲーム出場志願は)あらゆるアスリートのお手本になるケースだと思いますね。200号目指して頑張るでしょう」と目を細めた。亀井は「節目という点では時間はかかりましたが打つことができて良かった。これをきっかけにチームに貢献できるように、打撃の状態を上げていきたいです」とコメントした。焦らず、じっくり、丁寧に。これからもカメのように野球道を歩んでいく。【浜本卓也】

▼通算100本塁打=亀井(巨人) 5日の日本ハム2回戦(東京ドーム)の9回、杉浦から今季2号を放って達成。プロ野球302人目。初本塁打は06年6月29日の横浜9回戦(横浜)で山口から。38歳10カ月で達成は史上4位タイの年長記録。

 

▽巨人戸郷(7回に突然乱れて6回1/3を6失点) 良かっただけに申し訳ないです。中継ぎ陣の皆さんの負担を何とか軽減したいと思っていましたが、投げ切れませんでした。(王柏融の)あの1本を防がなければいけませんでした。

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