日本ハム王柏融外野手(27)が値千金の逆転決勝弾を放った。1点を追う7回1死一塁で戸郷から逆転4号2ランを右中間へ運んだ。来日3年目でシーズン自己最多本塁打を更新。劇的な1発で連続無得点イニングを28で止め、チームの連敗も止めた「台湾の大王」は故郷へコロナワクチンを無償提供した日本へ感謝の気持ちを示した。

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王柏融は、どうしても伝えたいことがあった。ヒーローインタビューの最後に思いの丈を話した。

王柏融 まず、この場を借りて日本に感謝をしないといけないことがあります。台湾にワクチンを提供してくれまして、本当にありがとうございます。日本と台湾だけじゃなくて、地球の全ての国が1日も早くコロナが収まりますように祈ります。

故郷では5月中旬から再びコロナ禍が拡大。ワクチンの確保に難航する中で、日本政府から無償提供されたワクチン124万回分が4日午後に現地へ到着した。「台湾もすごい大変な時期で、こういう時に日本が台湾へ向けてワクチンを提供してくれて本当に感謝しています」。全国放送をしていたNHKなどを通じて、感謝の気持ちを多くの人に伝えることができた。

値千金のアーチが打てたからこそ、純粋な思いを伝えることができた。0-1で迎えた7回1死一塁で戸郷の147キロ直球を完璧に捉えて4号逆転決勝2ランを放った。「狙いを高くしていた」と、第1、2打席は空振り三振に打ち取られていたフォークをしっかりケア。1ボールから5球連続で投げられたが耐え、浮いてきた真っすぐに力負けすることなく仕留めた。

チームにとって29イニングぶりの得点。勢いを取り戻した打線は代打高浜のグランドスラムも飛び出すなど一気に閉塞(へいそく)感を打ち破った。栗山監督も「大きかった」とたたえたメモリアル弾だった。

王柏融は「チームに元気を与える1発になった。自分にとっても本当に大きなホームランだったし、勝利につながってよかった」と、最後は笑みがこぼれた。逆襲のビッグウエーブの起点を、台湾の大王が生み出した。【木下大輔】

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