おじいちゃん、おばあちゃんのために。阪神佐藤輝明内野手(22)がセパ首位対決となった「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦で、4連勝&最多貯金18を呼び込んだ。

宮城在住の祖父母を招待した敵地戦。四球出塁した5回に5個目の盗塁を決めて反撃の口火を切ると、マルテの2ランで逆転した6回は中前打を決めた。12日は日米179勝の田中将と注目のモノノフ対決。交流戦逆転Vへ望みをつなぐ1発で連日の祖父母孝行だZ!

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おじいちゃん、おばあちゃんの元気な姿は、何よりの活力になる。祖父母がスタンドで見守る中、佐藤輝がハツラツと楽天生命パークを駆け回った。2点を追う5回に2死から四球出塁。8番糸井の3球目にスタートを切った。「2死だったんで、思い切りいきました」。猛烈なスライディングでプロ5盗塁目を決めると、送球がそれる間に一気に三進。その後、糸井の内野安打で生還し、1点差に迫った。ルーキーが反撃、逆転勝ちの口火を切った。

この日は宮城に住む祖父母が観戦に訪れた。父方の祖父勲さん(82)と、祖母美智恵さん(82)が住む村田町には高校まで毎年、盆と年末に帰省。小学1年から野球を始めて以降は、勲さんが所有する敷地の一部を整地して作られたテニスコートで、帰省のたびに特訓した。試合前にはメールで「頑張るよ!」と活躍を誓い、6回はマルテの逆転弾に続いて会心の中前打。第2の故郷へ、阪神佐藤輝として初めての“帰省”は祖父母孝行の1日となった。

走って打って躍動する孫の姿に勲さんは「大学の時よりも1回り大きくなった」と成長を実感。「このまま1歩ずつ進んでほしいなと。(これまでも)急にガタ落ちしたことがあるんで。着実にやってもらえればいいなと思います」と目を細めた。孫を思う心は、佐藤輝の力になっているはずだ。

2人は残り2戦も観戦予定。「願わくば、1本でいいんでホームランを打ってほしいなと思います」。祖父の“おねだり”に孫も気合が入る。「明日、明後日も見に来てくれると思うんで、もっとホームラン、打点とかそういうのも見てもらいたいです」。いつも応援してくれる祖父母へ、特大のアーチを届けるつもりだ。

チームは逆転勝ちで4連勝。貯金を今季最多の18に増やし、交流戦初Vにも望みをつないだ。勢いに乗り、12日の予告先発、田中将に挑む。「球界を代表する投手の1人。そういう投手に自分がどれだけやれるか。自分は自分のすることをするだけ。いつも通りと思っています」と引き締めた。「ももいろクローバーZ」のファン同士で球界を代表する“モノノフ”対決。先輩撃ちで、もっとおじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせる。【中野椋】

○…佐藤輝が右手に着けているのは「走塁ガード手袋」と呼ばれ、ボールを投げる利き手のけがを防止するアイテムで、1日のオリックス戦から使用している。MLBの流れを受けてNPBは18年5月8日から使用解禁。サイズは縦30センチ以内、幅13センチ以内に定められている。巨人も坂本の負傷を機に採用した。

◆阪神が楽天を下し交流戦4連勝。阪神の交流戦4連勝は15年6月3~7日にロッテ、日本ハムにそれぞれ2勝して以来。阪神の交流戦最大連勝は08年の6連勝。