東京オリンピック(五輪)の開会式で聖火ランナーを務めた、プロ野球巨人の長嶋茂雄終身名誉監督(85)が15日、テレビ朝日系「中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います!!東京オリンピックSP」(午後9時)に収録出演した。

MC中居と同局による“独占取材”で、7月23日に国立競技場で行われた開会式参加の裏側に密着。13年に招致が決まってからの目標が、開会式にその足で立つことだったという。

長嶋氏は04年アテネ五輪の野球日本代表監督として金メダルを目指したが、脳梗塞に倒れた。懸命にリハビリを重ね、招致決定で意欲も増進したものの、18年に胆石が見つかったことで再入院。一時は自力で座ることもできなくなったという。しかし、聖火ランナーを務めるため歩く訓練を再開し、夢舞台に間に合わせた。その開会式1時間半前の様子を、娘の長島三奈さんが撮影した様子も放送された。

三奈さん「正直、1年半くらい前って、まだ、ほぼ寝たきりに近い状態だったでしょ」

茂雄氏「うん、そうですね、はい」

三奈さん「考えられないくらいの奇跡が起きてるんだけど」

茂雄氏「ふっふっふ。そうですね。あの当時から見るとね、今の体はね、だいぶ変わってね、非常に…気持ちがね、うれしい気持ちがありますよね、はい」

三奈さん「話を聞いてから、正式に聖火ランナーやりますとお返事をして、何か毎日、気持ちは変わりましたか」

茂雄氏「気持ちはもちろんね、あのころはまだ、なかなか体が言うことを聞かなかった。早く体を良くしようと、手、足、体の全部を鍛えてね。(聖火トーチを)持つために一生懸命やりました」

三奈さん「聖火ランナーを王(貞治)さん、松井(秀喜)さんと3人で。どうですか」

茂雄氏「いやあ最高よ。松井君はわざわざね。一生懸命やるだろうし、王さんは王さんでね、一生懸命やるということを言ってくれて、非常にうれしかった。(自らも)一生懸命やってね、何とか今日は良い日になってくれればと思います」

迎えた開会式では、松井氏に脇を抱えながら盟友の王氏とともに、聖火をつなぐ大役を全うした。

その3週間後。中居が4年ぶりというインタビューを実現させた。当時も聖火ランナーへの強い思いを語っており「よし、日本で五輪をやる時にはどうにかする」と「歩いたり、走ったり」リハビリを重ねてきたという。大会が1年延期になったことも「大きかった」と吐露し、本来開催の昨夏であれば参加は厳しかったとの認識も示した。

柔道男子の野村忠宏氏、レスリング女子吉田沙保里さんという五輪3連覇ペアから聖火を受け、王氏、松井氏と、続く医療従事者へ聖火を渡した。その瞬間、長嶋氏が笑顔になった映像を自ら見て大笑いし「言葉にできないような気持ちがね、頭いっぱいにバーッと出ましたよね」と感慨深そうに振り返った。

自身は、本大会前の病に倒れて逃した金メダル。侍ジャパンに自身の悲願を託し、7月31日には1次リーグ日本-メキシコ戦(横浜スタジアム)を視察していた。決勝までも「全試合、テレビで見ましたよ」と見届け、選手に関しては阪神の梅野捕手を高く評価。巨人の坂本遊撃手についても「いいところで、いい試合で打ったよね」と褒めたたえた。

稲葉篤紀監督に対しては「ちょっと電話をしました」と明らかにした。中居が「大会中に?」と驚くと「そうですよ、もちろん。『今の全日本の侍チームは最高だ。絶対、よそのチームに負けるわけがない』と言いました。細かいことは言わなかったけど、2人でね『よしやりましょう』『頑張りましょう』とね、初めて電話しました」と打ち明け、長嶋氏が夢の金メダル獲得を“後押し”していたことも番組を通じて公になった。