広島鈴木誠也外野手(27)が自身初の4戦連続本塁打を放つなど、4安打4打点で今季初のサヨナラ勝利に貢献した。

7回まで2本塁打の主砲は、終盤には安打でチャンスメーク。中前適時打でつないだ9回は、坂倉がサヨナラ逆転3ランで続き、チームは3連勝となった。主砲の調子とともに、チームは4位に浮上した。

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満面の笑みでヒーローを迎えた鈴木誠は、思わず坂倉と体をぶつけ合って喜びを爆発させた。「若い選手が結果を出すと、やっぱりうれしいですね。試合に出ていて、つらい思いだけではなく、いい思いもしてもらいたいから」。スポットライトは後輩に譲ったものの、2本塁打を含む4安打4打点と、4番として勝利への道筋を描いた。

連続本塁打に注目が集まる中、1回にやってのけた。1回2死一塁から中日小笠原の初球真っすぐを強振し、4試合連発となる23号先制2ランを左中間席に突き刺した。ヤクルトとの前カードで3戦連発をマーク。同一カード3試合連続アーチは緒方前監督に「神ってる」とたたえられた16年以来の快挙だった。3戦連発はこれまでの自己最長でもあったが、今回はそれを更新する4戦連発。球団では07年新井以来、14年ぶりの記録となった。

2点ビハインドの7回には小笠原の初球スライダーを振り抜き、左翼席上段に運んだ。後半戦初アーチをマークした8月26日以来のマルチ本塁打で、同日以降以降11試合で9本塁打と量産態勢に突入。8回は左前打、9回は中前打。いずれも捉えた2安打でチャンスメーカーに回った。

今季は打撃フォームを大改造し、新型コロナ感染やワクチンによる副反応などもあった。心技体のバランスを整えるのが難しいシーズンを送っている。だが、今もプロ1年目に感じた危機感を今も胸に刻む。「入ってすぐ、このままじゃすぐにクビになると思いました。練習したいではなく、練習しないと生き残れないと思いました」。練習嫌いだった二松学舎大付時代から人が変わったように練習に打ち込んだ。気付けば、打撃道にどっぷりハマった。それは今も変わらず、続けられる強さがある。「もちろん打っているので、いい打ち方をしていると思う。ただ、打者というのはいい状態を継続しようとすると、それは続かなくなる」。プロ9年目、自身の打撃に満足したことはまだ1度もない。飽くなき向上心と打撃への探究心が、苦しんだシーズン終盤にようやく実を結ぼうとしている。【前原淳】

▽広島小園(15試合ぶり猛打賞)「調子が悪いというより、自分の間合いでスイングができていなかった。3本出たことは良かったですし、昨日からの準備が良かったのだと思います」