王者の勝利への欲求は、ことごとく裏目に出た。同点の9回2死二塁で、ベテラン川島が左前打を放つ。二塁走者だった代走釜元は本塁へ突っ込んだが、左翼手荻野からの返球が早かった。次打者だった柳田は、肩を落としながらベンチへ戻る。サヨナラムードだったチームから、一瞬にして笑顔が消えた。今季19度目の引き分け。首位ロッテとの本拠地3連戦は1勝もできずに2敗1分に終わった。

工藤監督 アウトになったのも結果論だし、行かせたのも結果論だし、行かせなかったら次は柳田君ですよねって言っても結果論だし。送球はそれるかもしれない。ナイスボールを投げた向こうが良かったというふうに思います。

7、8回にも痛い走塁死があった。2死一、三塁で打者は柳田。ハーマンの暴投の間に三走甲斐がホームを狙ったが、アウトになった。リクエストも判定は覆らず。8回1死満塁で今宮の右飛でタッチアップ狙った上林が、三塁へ引き返すも間に合わず。3イニング連続で痛恨の走塁死が続いた。指揮官は「ギリギリのプレーだった。しょうがないかなと思います。みんな必死に頑張ってなんとかしようという思いはすごく伝わってるし、それが良いように出る時と、うまく出ない時はある」と、必死に選手をかばった。

首位との差は「8・5」で変わらず、厳しい戦いは続く。勝ち続けるしか奇跡の逆転優勝はない。「ダメだったことを嘆くより、しっかり次に向けてという考え方に持っていく」。残りは29試合。工藤監督もナインも、最後まで前を向く。【只松憲】

 

▽ソフトバンク釜元(今季初出場も、9回に走塁死)「今季初出場がサヨナラのランナーと大事なところでの代走となり、絶対にホームまでかえるという気持ちでした。盗塁を決めることはできましたが、あと1歩というところで、ホームタッチアウトになってしまい悔しいです」